■J-REIT市場の現状
1. J-REIT とは
投資家から集めた資金で収益不動産(オフィスやレジデンス、商業施設など)へ投資し、そこから得られた不動産収入を原資として投資家に分配する金融商品である。
投資対象が安定したキャッシュフローを生み出す収益不動産であることに加え、比較的高い利回り※が期待できるところに特徴があり、分かりやすく言えば、ハイリスク・ハイリターン型の株式とローリスク・ローリターン型の債券の中間(ミドルリスク・ミドルリターン型)に位置するものと言える。
2017年9月末のJ-REIT全体の時価総額は約11兆2,978億円、銘柄数は59の規模に上る。
リーマンショック後の金融引き締め等の影響により一旦低迷する局面があったものの、2012年以降は、国内景気の回復や長期にわたる金融緩和などにより拡大基調をたどってきた。
また、最近ではインバウンド需要の拡大等を見据えた商業施設やホテル、高齢化社会に向けた介護施設など、投資対象も多様化してきており、様々な投資機会を創出すると同時に、市場の成長余地も大きい。
※ 2017年9月末現在のJ-REIT平均分配金利回りは4.16%(フィスコ調べ)。
2. 投資判断のポイント
J-REITに対する投資判断は、安定性及び成長性、収益性の視点から、いかに収益不動産からのキャッシュフローを安定的かつ持続的に成長させていけるかがポイントと言える。
特に、保有物件(アセットタイプ)によってキャッシュフローの質が大きく変わることから、各REITの投資方針やポートフォリオの状況に注意する必要がある。
サムティ・レジデンシャル投資法人 {{|0:}}の投資対象であるレジデンスは、一般的に言えば、景気の影響を比較的受けづらく、利用者が小口分散されていることからキャッシュフローの安定性は高いと言える。
半面、オフィス型などに比べると収益性の面で若干落ちる傾向がみられる。
なお、安定性の評価には、「賃料単価」や「稼働率」の推移(変動)、成長性の評価には、「資産残高の伸び」のほか、「賃料単価」や「稼働率」の改善(余地)、「賃貸事業費用」等の削減(余地)、収益性の評価には、「NOI利回り」※1や「利益率」の高さなどが重要な指標となっている。
また、財務基盤の安定性や今後の物件取得に向けた資金調達力を維持しつつ、有利子負債を効果的に活用することが「1口当たり分配金」を増やすことにつながるため、財務の状況(方針)も重要な判断材料と言える。
「総資産LTV」※2や有利子負債の長短比率などが重要な指標である。
※1 (不動産賃貸利益+減価償却費)÷不動産取得価格。
※2 Loan to Valueの略。
有利子負債÷総資産。
なお、成長性の評価については、外部成長と内部成長の2つの面から判断する必要がある。
外部成長とは、新たな物件取得により資産規模を拡大し、キャッシュフロー全体を底上げすることである。
ただ、公募増資を伴う場合には発行口数も増えることから、必ずしも「1口当たり分配金」の増加とはならないことに注意が必要である。
もちろん、その場合でも、資産規模の拡大が運用効率を高めることにより内部成長を促す要因となる。
したがって、良質な物件取得ルートをいかに確保しているかがカギを握っている。
一方、内部成長とは、賃料単価のアップや稼働率の向上、コスト削減等により保有物件からのキャッシュフローを増やすことである。
運営管理の効率性やノウハウの活用がポイントとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
1. J-REIT とは
投資家から集めた資金で収益不動産(オフィスやレジデンス、商業施設など)へ投資し、そこから得られた不動産収入を原資として投資家に分配する金融商品である。
投資対象が安定したキャッシュフローを生み出す収益不動産であることに加え、比較的高い利回り※が期待できるところに特徴があり、分かりやすく言えば、ハイリスク・ハイリターン型の株式とローリスク・ローリターン型の債券の中間(ミドルリスク・ミドルリターン型)に位置するものと言える。
2017年9月末のJ-REIT全体の時価総額は約11兆2,978億円、銘柄数は59の規模に上る。
リーマンショック後の金融引き締め等の影響により一旦低迷する局面があったものの、2012年以降は、国内景気の回復や長期にわたる金融緩和などにより拡大基調をたどってきた。
また、最近ではインバウンド需要の拡大等を見据えた商業施設やホテル、高齢化社会に向けた介護施設など、投資対象も多様化してきており、様々な投資機会を創出すると同時に、市場の成長余地も大きい。
※ 2017年9月末現在のJ-REIT平均分配金利回りは4.16%(フィスコ調べ)。
2. 投資判断のポイント
J-REITに対する投資判断は、安定性及び成長性、収益性の視点から、いかに収益不動産からのキャッシュフローを安定的かつ持続的に成長させていけるかがポイントと言える。
特に、保有物件(アセットタイプ)によってキャッシュフローの質が大きく変わることから、各REITの投資方針やポートフォリオの状況に注意する必要がある。
サムティ・レジデンシャル投資法人 {{|0:}}の投資対象であるレジデンスは、一般的に言えば、景気の影響を比較的受けづらく、利用者が小口分散されていることからキャッシュフローの安定性は高いと言える。
半面、オフィス型などに比べると収益性の面で若干落ちる傾向がみられる。
なお、安定性の評価には、「賃料単価」や「稼働率」の推移(変動)、成長性の評価には、「資産残高の伸び」のほか、「賃料単価」や「稼働率」の改善(余地)、「賃貸事業費用」等の削減(余地)、収益性の評価には、「NOI利回り」※1や「利益率」の高さなどが重要な指標となっている。
また、財務基盤の安定性や今後の物件取得に向けた資金調達力を維持しつつ、有利子負債を効果的に活用することが「1口当たり分配金」を増やすことにつながるため、財務の状況(方針)も重要な判断材料と言える。
「総資産LTV」※2や有利子負債の長短比率などが重要な指標である。
※1 (不動産賃貸利益+減価償却費)÷不動産取得価格。
※2 Loan to Valueの略。
有利子負債÷総資産。
なお、成長性の評価については、外部成長と内部成長の2つの面から判断する必要がある。
外部成長とは、新たな物件取得により資産規模を拡大し、キャッシュフロー全体を底上げすることである。
ただ、公募増資を伴う場合には発行口数も増えることから、必ずしも「1口当たり分配金」の増加とはならないことに注意が必要である。
もちろん、その場合でも、資産規模の拡大が運用効率を高めることにより内部成長を促す要因となる。
したがって、良質な物件取得ルートをいかに確保しているかがカギを握っている。
一方、内部成長とは、賃料単価のアップや稼働率の向上、コスト削減等により保有物件からのキャッシュフローを増やすことである。
運営管理の効率性やノウハウの活用がポイントとなる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)