ドル/円
午後3時現在 78.44/48 1.4365/68 112.71/74
正午現在 78.37/38 1.4382/87 112.72/75
午前9時現在 78.38/39 1.4365/69 112.61/63
NY17時現在 78.52/55 1.4353/59 112.74/80
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[東京 25日 ロイター] 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時に比
べて若干ドル安の78円前半。ドルは、米債務上限引き上げ交渉の難航をにらんだ米国ミ
ニトリプル安の中で、朝方4カ月ぶり安値となる78.12円まで下落したが、その後は
78円前半を中心とするもみあいとなった。米格付け会社がギリシャの格付けを引き下げ
たことでユーロや豪ドルが一時的に反落する場面もみられたが、本格的な値崩れには至ら
なかった。
<本邦実需勢>
この日は、輸出企業のドル売りが出やすい月末接近の五・十日にあたるが、ドルの水準
を考えると「輸出企業の売りが一気に出てくることはなさそうだ。月末まで様子をみるの
ではないか」(大手銀行)といい、実需の売り意欲は低迷した。
他方、東日本大震災の復興需要を抱える日本では、円高が原材料の輸入価格を押し下げ
輸入業者や最終消費者にとってのメリットが大きいとの認識があるが、現実はより複雑の
ようだ。
「(円高で)海外の取引先が値上げしてきている。一方で、(日本)国内はデフレなの
で値上がり分を商品に上乗せできない」(輸入業者)とされ、「ドル安の裏側で、穀物や
食料品高が続いているので、円高メリットといっても単純にはいかない」(同)という。
<ギリシャ格下げ>
ムーディーズがギリシャの格付けを引き下げたことを受け、ユーロ
1.4342ドルと今日の安値圏まで下落。ユーロ安に連れ安となった豪ドル
一時1.0807米ドル付近まで下値を伸ばした。
ムーディーズは25日、ギリシャ格付けをCAA1からCAに引き下げ、同国の格付け
見通しはデベロッピングとした。また、同社は、欧州連合(EU)プログラムと債務交換
計画がギリシャの安定と債務削減の可能性高めるとし、EUの支援策によって、ギリシャ
の秩序あるデフォルトが可能になり時間稼ぎになるとした。
一方で同社は、ギリシャが中期的にはソルベンシー課題に依然直面し、財政経済改革で
「非常に大きな」実行リスクに直面しているとの認識を明らかにした。
ドル/円はムーディーズのギリシャ格下げ報道直前に78.53円付近と、午後の取引
の高値まで上値を伸ばしたが、ムーディーズの発表後に午後の上昇分が相殺され、再び
78円前半に戻った。
<米債務上限>
市場では、米国では債務上限は引き上げられ米債のデフォルトは回避されるとの見方が
多いが、米国格下げリスクがくすぶっていることに加えて、米財政の引き締めが景気を圧
迫するとの見方も多く、ドルの下値不安がくすぶっている。
通貨オプション市場では、ドル/円のリスクリバーサル2週間物がドル・プット・オー
バーの2.075%(ビッド・サイド)と、22日の同1.550%から顕著に拡大した。
ドル・プット・オーバーの拡大は、市場でドル安に備える動きが強まったことを示してお
り、債務上限引き上げをめぐる混乱を背景に、ドル安センチメントが広がりを見せている
ことを表す。
市場では、冷めた見方も出ていた。
「過ぎてみれば、米債務上限を巡るゴタゴタがすべて茶番だったということになるかも
しれない」とSMBC日興証券のシニア債券為替ストラテジスト野地慎氏は言う。
「8月2日前後で、米国格下げのリスクが高まるかもしれないが、(米格付け会社)フ
ィッチは、その後、財政健全化に向けた具体策が講じられれば、再び格上げする用意を示
している。つまり、格下げされても再び戻すということだ」 と同氏は指摘する。
「市場にとっての焦点は、上限が引き上げられてもS&Pによる格下げの可能性がある
ことに加え、米債務削減から来る米景気下押しリスク(フィスカルドラッグ)に移ってい
る」(バークレイズ銀行チーフFXストラテジスト、山本雅文氏)という。バークレイズ
銀行は、米債務上限問題をにらんで1カ月後のドル/円の予想を80円から75円に引き
下げた。
また「格下げされればドルは一気に過去最安値の76.25円を目指しそうだ。格下げ
回避でも(財政引き締めによる景気圧迫や緩和政策長期化観測で)ドルは緩やかに売られ、
過去最安値の76.25円を目指す」(別の大手銀行)と予想する声も聞かれた。
米民主党と共和党は、連邦債務上限の引き上げと財政赤字削減についてそれぞれの代替
策を検討、25日中(米国時間)の決着を目指して土壇場の調整が続いている。しかし、
両党間の溝はむしろ深まっているとみられ、合意の兆しは出ていない。米国の債務返済に
支障が生じるとされる8月2日の期限が迫る中、デフォルトとなる可能性が高まっている。
連邦債務の上限として議会が設定している14兆3000億ドルの引き上げについて、
共和党は、財政的に保守的な立場をとる草の根運動・茶会党などとともに、増税の動きに
は強硬に反対。一方、民主党は、共和党などが要求している社会保障の削減案に反対して
いる。
<白川日銀総裁>
日銀の白川方明総裁は都内で講演し、円高は輸出、企業収益、企業マインドの悪化を通
じて景気に悪影響を及ぼすとし、円高の影響を、注意深く見守る必要があるとの見解を明
らかにした。また、金融政策について、必要と判断される場合には、適切な措置を講じる
と述べた。
ドルは、白川総裁のコメントをはさんで、2―3銭程度強含んだか、影響は限定的だっ
た。
(ロイターニュース 森佳子)