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日本調剤 Research Memo(2):期初予想の通り大幅減益での着地だが、ポジティブに評価できる要素も含まれた決算

発行済 2018-12-10 17:12
更新済 2018-12-10 17:20
日本調剤 Research Memo(2):期初予想の通り大幅減益での着地だが、ポジティブに評価できる要素も含まれた決算
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■業績の動向

1. 2019年3月期第2四半期決算の概要
日本調剤 (T:3341)の2019年3月期第2四半期決算は、売上高118,694百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益1,547百万円(同68.4%減)、経常利益1,265百万円(同72.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益744百万円(同73.4%減)と微増収・大幅減益で着地した。


計画(期初予想)との比較では、売上高は期初予想に対して3.6%(4,452百万円)の未達だったものの、営業利益は計画どおりの着地となった。


2019年3月期第2四半期決算は大幅減益であったために、“好決算”という表現は当たらない。
しかしそれでも、1)厳しい事業環境の中で全事業セグメントが前年同期比増収を達成したこと(特に調剤薬局事業で前年同期比増収を達成したこと)、2)利益面ではおおむね計画線で推移していること、3)医薬品製造販売事業の収益V字回復シナリオの確信度が高まったこと、の3つの理由から、将来への期待感高まる内容の決算だったと弊社では考えている。


事業セグメント別では、薬価・調剤報酬改定の影響を受けた調剤薬局事業が売上高、営業利益ともに計画を下回った。
一方、医薬品製造販売事業は、売上高は計画を下回ったものの利益面では期初の営業損失予想に対して営業利益を計上し、他の事業セグメントの計画比未達分を完全にカバーした。
医療従事者派遣・紹介事業は、売上高はおおむね計上どおりで推移したものの利益は先行費用の発生などにより計画を下回った。



高収益・高機能の店づくりが奏功し、処方箋単価の落ち込みを最小限にとどめて前年同期比増収を確保
2. 調剤薬局事業の動向
調剤薬局事業の2019年3月期第2四半期は、売上高101,054百万円(前年同期比1.0%増)、営業利益3,197百万円(同43.1%減)と微増収・大幅減益となった。
期初予想との比較では売上高、営業利益ともに未達だった。


2019年3月期第2四半期は期中に19店舗を新規出店(うち4店舗がM&Aによるもの)し、8店舗を閉鎖した結果、期末の店舗数は596店舗(物販店舗3店舗を含む)となった。
1年前と比べて27店舗増加し、出店計画に対しては1店舗上回った。
1店舗当たりの売上高は171百万円(年換算342百万円)で、前年同期の176百万円より5百万円少なかったが、同業他社と比較して圧倒的に高い水準にあることは従来から変化はない。


調剤薬局事業の売上高は処方箋単価と処方箋応需枚数の積で表される。
2019年3月期第2四半期は、処方箋単価については前年同期比1.8%減の14,358円だったが、処方箋応需枚数が同2.6%増となった。
出店期別内訳では、中核の既存店が、応需枚数が前年同期比1.0%減とマイナスだったものの処方箋単価は前年同期比0.6%減と小幅にとどまり、改定の厳しさに照らすと大健闘と評価できる内容だった。
応需枚数の減少については、特に9月に地震や台風などの自然災害の影響で大きく減少したことが響いたもようだ。
これらの結果既存店の調剤売上高は前年同期比1.6%の減収となった。
これを前年出店分の店舗の寄与によって全店ベースの調剤売上高は前年同期比0.7%増と増収を確保した(物販も入れた調剤薬局事業セグメントの売上高は前年同期比1.0%増)。


同社の期初予想との比較では、前述のように処方箋単価については同社の期待値を上回る好結果だったものと弊社では推測している。
一方応需枚数は、同社の売上高の期初予想が前年同期比3.3%増だったことから逆算すると全店ベースで5%~6%の増加率を見込んでいたものと弊社では推測している。
したがって2019年3月期第2四半期実績の応需枚数については計画を下回る内容だったとみている。
この要因は前述のように天候・自然災害が大きく影響したとみている。


前年同期比大幅減益となった2019年3月期第2四半期ではあったものの、同業他社と比較すると同社の強みが良く表れた決算だったというのが弊社の見方だ。
前述のように、同社は前年同期比で増収を確保した数少ない企業の1社となった。
全店ベースの処方箋応需枚数は各社とも前年同期比プラスとなっている。
新規出店を積極的に行っていることが背景にある。
一方、処方箋単価の下落幅は企業間で差があり、この差が前年同期比での増減収を分けた形となった。
同社の処方箋単価の落ち込みが小さかった理由について、詳細は後述するが、『患者のための薬局ビジョン』に沿った店づくりやジェネリック薬の使用促進、店舗当たり売上高の高さが象徴する高効率の店づくり、といった施策が結果的に薬価・調剤報酬改定の影響を最小限に抑制し、前年同期比増収の確保につながったと弊社ではみている。
その意味で2019年3月期第2四半期の増収確保は、わずか1.0%ではあるがそれが持つ意味は非常に大きいと弊社では考えている。


利益面では、前年同期比較では、上記のように売上高の伸びが1.0%(1,043百万円)の増収にとどまった一方で、売上原価は医薬品の仕入れ価格交渉が流通改善ガイドライン※に基づいて厳しいものとなり、売上原価が2,849百万円上昇した。
その結果売上総利益は前年同期比1,806百万円の減益となった。
販管費は長期的視野から人材の拡充を継続していることもあって人件費を中心に613百万円増加した。
これらの結果、営業利益は前年同期比2,419百万円(43.1%)の減益となった。


※正式名称は「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」。
これまでも薬価基準で定められた公定価格を踏まえた透明な市場実勢価格の形成を目指して様々な流通改善の取り組みが行われてきたが、今回の流通改善ガイドラインでは国が主導して流通改善の取り組みを促進することを明示している点が特徴的(従来は流通当事者の取り組みという構造だった)。
薬価調査・薬価改定を毎年(現状は2年に1回)実施するための環境整備ということも背景にある。



期初予想との比較では、売上高が2,278百万円(2.2%)の未達となった。
それに伴い売上原価も1,772百万円減少したもののすべてをカバーするには至らず売上総利益は期初予想に対して506百万円の未達となった。
このカバーできなかった要因(すなわち想定外の要因)としては、流通改善ガイドラインによる医薬品原価の上昇が大きかったと弊社ではみている。
販管費はほぼ計画線で推移した(計画に対して42百万円の増加)ものの、最終的に営業利益は期初予想に対して548百万円の未達となった。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

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