24日、ドルは他の主要通貨に対して上昇したが、世界経済の不透明感や米政府閉鎖、米中貿易問題などへの懸念から、上値は重かった。
楽天証券のNick Twidale最高執行責任者は「現在、米中貿易摩擦は投資家心理へ最も影響を与え、市場の流れを作る要因である」と述べた。
米政府閉鎖と貿易摩擦が解決しないと、投資家のリスク選好は改善しないと同氏は付け加えた。
世界経済への懸念もまた投資家へ影響を与えている。21日、中国とユーロ圏における予想以上の景気減退を背景に、国際通貨基金(IMF)は2019年と2020年の世界経済見通しを引き下げた。そして、米中貿易摩擦が解決に至らない場合は、減退する世界経済はさらに不安定化するだろうと述べた。
日本時間15時5分時点でのドルインデックスは、0.12%高の95.88となった。
今年のドルは弱気相場入りすると考えられる。世界経済への懸念により、FRBは将来の利上げに対して慎重な姿勢を取らざるを得なくなった。金利先物トレーダーは、2019年にFRBが利上げ見通しを変更しないと予想している。
豪ドルは下落し、豪ドル/米ドルは0.6%安の0.7097となった。
ナショナル・オーストラリア銀行は、同国の急速に冷え込む住宅市場へ追い打ちをかけた。同銀行は高騰する住宅金利下で、住宅金利の引き上げを発表した。当初、堅調な雇用統計を背景に、オーストラリアでは堅調な兆しが見られていた。
日本円はドルに対して円安となり、米ドル/円は0.09%高の109.68となった。
ユーロは小幅安となり、ユーロ/米ドルは1.1373となった。
トレーダーは、本日の金融政策会合で欧州中央銀行がハト派を維持し、金融緩和政策の延期を決定すると予想している。
また、ドイツとフランスの予想を下回る経済活動や低いインフレ率を受けて、ECBのマリオ・ドラギ総裁は景気後退が長期化する可能性を指摘するかもしれない。
「ECBが経済成長率とインフレ率の見通しを下げし、ドラギ総裁が低調な経済成長を指摘するならば、ユーロ/米ドルは容易に1.12ドルまで下落しうるだろう」とBKアセットマネジメントの通貨戦略マネージングディレクターであるキャシー・リアン氏は述べた。
ブレグジットを巡る不透明感により、ポンド/米ドルは0.21%安の1.3038となった。
先週、テリーザ・メイ英首相のブレグジット協定案が大差にて否決された。議会は危機から抜け出すための道筋を模索してきたが、どの選択肢も議会の過半数から支持を得られていない。。
一部のアナリストはポンドの上昇は限られていると予想している。DBSの通貨ストラテジストであるPhilip Wee氏は、ポンドが上昇する理由の大半はショートカバーであると述べた。同氏はポンドが1.317から1.3240ドルのレンジで天井を迎えるとみている。