先週の新興市場では、日経平均が下落する一方、マザーズ指数は逆行高となった。
週半ばまで日経平均は21000円台でこう着感の強い展開が続き、大きな値幅を狙う個人投資家の物色がマザーズ銘柄を中心とした中小型株に向かった。
週後半になると米中対立の長期化、また通商摩擦拡大への懸念が台頭し、円高進行とともに日経平均は下落。
こうしたなかでも中小型株物色の根強さは窺えたものの、マザーズ指数は上値を切り下げる形となった。
なお、週間の騰落率は、日経平均が-2.4%であったのに対して、マザーズ指数は+2.4%、日経ジャスダック平均は-0.6%だった。
個別では、マザーズ時価総額トップのメルカリ (T:4385)が週間で15.1%高と大きく上昇。
株価指数のリバランス需要が発生した。
ティーケーピー (T:3479)は同9.4%高、ラクスル (T:4384)は同16.1%高、ラクス (T:3923)は同21.6%高で、成長期待の高い銘柄を中心に資金が向かった。
売買代金上位ではHEROZ (T:4382)、ALBERT (T:3906)といった人工知能(AI)関連株の上げが目立った。
また、業績上方修正のホープ (T:6195)が週間のマザーズ上昇率トップとなった。
一方、物色の柱となっていたそーせいグループ (T:4565)は週末にかけ利益確定売り優勢で、イーエムネットジャパン (T:7036)などが下落率上位に顔を出した。
ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ (T:6324)が同8.6%高となったものの、日本マクドナルドHD (T:2702)が同1.2%安、ワークマン (T:7564)が同1.9%安と軟調。
アサカ理研 (T:5724)はレアアース(希土類)を巡る思惑から活況となり、エヌ・シー・エヌ (T:7057)などとともに週間のジャスダック上昇率上位に顔を出した。
反面、前の週に急伸したオンキヨー (T:6628)は上値が重く反落し、フジタコーポレーション (T:3370)は利益確定売りがかさみ下落率トップとなった。
IPOでは令和最初となるバルテス (T:4442)の新規上場があり、公開価格の約2.8倍となる高い初値を付けた。
今週の新興市場では、中小型株の循環物色の流れが続きそうだ。
主力大型株の手掛けづらさから中小型株物色が続いており、AI関連などのテーマ株や初値形成後に調整が続いていた直近IPO銘柄にも物色のすそ野は広がりを見せている。
しかし、5月31日の米国市場でNYダウが350ドル超下落するなど、日米で株価変動率(ボラティリティー)が再び高まりつつある点は気掛かり。
相場全体の地合い悪化で資金の逃げ足が速まる可能性もある。
今週は、6月7日にバルニバービ (T:3418)、日本スキー場開発 (T:6040)、イトクロ (T:6049)などが決算発表を予定している。
イトクロは第2四半期決算を発表。
第1四半期は広告宣伝の強化により営業微増益だったが、再び伸びを見せてくるか注目したい。
また、トビラシステムズ (T:4441)やハウテレビジョン (T:7064)といった6月中旬に決算発表を予定している直近IPO銘柄もあり、思惑的な買いが向かう可能性もありそうだ。
IPO関連では、6月4日に大英産業 {{|0:}}が福証へ新規上場する。
同社は九州地盤で新築分譲マンション等を手掛けているが、地方市場への上場案件とあって穏当なスタートとなりそうだ。
なお、注目のSansan {{|0:}}は3日からブックビルディング期間入り。
また、先週はフィードフォース {{|0:}}(7月5日、マザーズ)の新規上場が発表されている。