■株式相場見通し予想レンジ:上限21500-下限20750円来週の日経平均は続伸が期待される。
トランプ大統領は7日夜(日本時間8日午前9時半頃)、ツイッターで「メキシコからの輸入品関税の上乗せは無期限に延期」と投稿し、10日に実施予定だった関税上乗せは見送られた。
株式市場の懸念材料の1つが払拭されたことになり、自動車株などが買い戻される見通しだ。
その前に明らかとなった米5月雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが予想を大きく下振れ、平均時給の伸びも鈍化したことから、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切るとの期待が強まる形となった。
週明けの東京市場はこの流れを好感して戻りを試す展開となるだろう。
また、FRBが利下げに踏み切る可能性が出てきたことを受け、日銀の金融政策に関しても「追随緩和」の可能性が指摘され始めている。
ETF買い入れ増額などの案が具体化してくると、日経平均は5月29日以来となる21000円台を回復する場面も期待される。
ただし、週後半はもみ合いに転じる可能性がある。
NYダウが7日までの5連騰で1168ドル強上昇しており、スピード調整が到来する可能性が高い。
国内の需給面では14日のメジャーSQを控えて先物の動向もかく乱要因となりそうだ。
また、金融政策を占う大きなスケジュールが日米で翌週に控えている。
6月19日、20日に日銀の金融政策決定会合、18日、19日にFOMC(連邦公開市場委員会)が予定されており、FOMCは日本時間20日午前3時頃に声明を発表する見込みだ。
この日米の金融政策イベントとメジャーSQを控えて、週後半にかけては次第に模様眺めムードが高まることが予想される。
さらにその先では、28-29日にかけて20カ国・地域(G20)首脳会議が開催され、日米、日ロ、日中の各首脳会談が個別に開催予定という政治イベントが控えている。
物色的には、5G関連、無電柱化関連の一角に動きがあるものの、広がりは見られない。
そのため材料株の個別物色が続きそうだ。
このほか、13日にトヨタ (T:7203)の株主総会が開催される。
ソニー (T:6758)は18日、ソフトバンクグループ (T:9984)は19日で、6月最終週が株主総会のピークとなる。
一般的に株主総会を控えるこの時期は、企業からネガティブな材料が出にくい傾向がある。
主な国内経済関連スケジュールは、10日に1-3月期GDP改定値、4月経常収支、5月景気ウォッチャー調査、11日に5月マネーストック、5月工作機械受注、12日に5月国内企業物価指数、4月機械受注、13日に4-6月期法人企業景気予測調査、5月都心オフィス空室率、14日にメジャーSQ算出日がそれぞれ予定されている。
このほか、11日にゲーム業界最大の見本市「E3」開催(13日まで、ロサンゼルス)、14日にEU経済・財務相理事会(ルクセンブルク)開催などが控える。
■為替市場見通し来週のドル・円は底堅い値動きとなりそうだ。
米国の5月生産者物価指数(PPI)、5月消費者物価指数、5月小売売上高などの主要経済指標が注目される。
インフレ関連の指標が前回実績を下回った場合、年内複数回の米利下げ観測はさらに広がり、ドル売り・円買いにつながりそうだ。
ただ、欧州通貨安の地合いはしばらく続くとみられており、ユーロ売り・米ドル買いが再び優勢となった場合、ドル・円相場が円高方向に大きく振れる可能性は低下すると予想される。
5月小売売上高は持ち直すことが予想されており、旺盛な個人消費が高水準の国内総生産(GDP)を維持するとの思惑から株高を通じてドル高に振れる可能性はある。
6月7日にメイ首相が党首を辞任し、後任選びが始まっている。
現時点で強硬離脱を提唱しているジョンソン外相が最有力視されており、合意なき欧州連合(EU)からの離脱への警戒感は再び強まりそうだ。
イタリアでは、財政規律をめぐる問題で同国の連立与党内で対立が激化している。
欧州中央銀行(ECB)理事会のドラギ総裁はタカ派寄りの見解を示したものの、インフレ鈍化は顕著で先行きは読みにくい。
英国、イタリアの政治不安を背景とする欧州通貨売りは、ドル選好地合いを強める可能性がある。
■来週の注目スケジュール6月10日(月):日・GDP改定値(1-3月)、英・商品貿易収支、中・貿易収支など6月11日(火):日・工作機械受注速報、英・失業率、米・ゲーム見本市「E3」(13日まで)など6月12日(水):中・消費者物価指数、トルコ・中央銀行が政策金利発表、米・財政収支、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が講演など6月13日(木):豪・失業率、ユーロ圏鉱工業生産、米・輸入物価指数、ユーロ圏財務相会合など6月14日(金):中・小売売上高、ロシア中央銀行が政策金利発表、米・小売売上高など