年末年始の新興市場では、日経平均と同様にマザーズ指数も波乱の展開となった。
中東情勢悪化への懸念が台頭し、1月8日にイランが駐イラク米軍基地を攻撃したことが伝わると、新興市場でもリスク回避目的の売りが広がった。
マザーズ指数は昨年12月安値を下回る860pt近辺まで急落する場面があったが、金融市場全体が落ち着くとともにマザーズ指数も値を戻した。
一方、日経ジャスダック平均は昨年来高値の更新が続いた。
なお、12月30日から1月10日までの騰落率は、日経平均が+0.1%であったのに対して、マザーズ指数は-2.0%、日経ジャスダック平均は+1.9%だった。
個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ (T:4385)が同期間で1.6%安、ラクス (T:3923)が同5.4%安と軟調だった。
ナノキャリア (T:4571)は膵がん治療薬の承認申請をしないと発表したことが嫌気され、ジーエヌアイグループ (T:2160)も利益確定売りに押され値を崩し、この期間のマザーズ下落率上位に顔を出した。
反面、19年上場組の一角が成長期待から買いを集め、Sansan (T:4443)は同5.6%高、フリー (T:4478)は同8.1%高となった。
Sansanはマザーズ時価総額2位に浮上している。
また、インターネット広告運用代行会社の連結子会社化を発表したフィードフォース (T:7068)が上昇率トップとなり、直近上場のサイバー・バズ (T:7069)なども賑わった。
ジャスダック主力ではワークマン (T:7564)が同5.5%安と軟調。
12月既存店売上高は引き続き好調だったが、サプライズには乏しかったようだ。
一方でセリア (T:2782)は既存店売上高の落ち込みに歯止めがかかりつつあると受け止められ、同12.8%高となった。
ハーモニック・ドライブ・システムズ (T:6324)は同4.9%安。
ニューテック (T:6734)は決算発表前から動意付き、この期間に株価がおよそ2.3倍となった。
反面、昨年末にかけて大きく値上がりしていたETS HD (T:1789)などがこの期間のジャスダック下落率上位に顔を出した。
今週の新興市場では、中東情勢を巡る市場の混乱が一服し、個人投資家による中小型株物色が再び活発となることに期待したい。
1月15日に米中貿易協議での第1段階の合意調印を控え、今月下旬からは10-12月期決算発表が本格化するとあって、日経平均は高値圏でのもみ合いとなりそうだ。
大きな値幅を狙った物色は中小型の成長期待株やテーマ株に向かいやすいと考えられる。
今週は、1月14日にティーケーピー (T:3479)、UUUM (T:3990)、マネーフォワード (T:3994)、チームスピリット (T:4397)、Sansan、ロゼッタ (T:6182)などが決算発表を予定している。
19年上場組のSansanは第1四半期が好調な出足だっただけに、今回の第2四半期決算への期待も高まりそうだ。
マネーフォワードはまだ先行投資期で、チームスピリットも利益成長は今期踊り場となる見込みだが、売上高の高成長が続くか注目したい。
また、年初とあって「東京オリンピック」「5G(次世代通信規格)」など有力な投資テーマを模索する動きも活発なようだ。
IPO関連では、12月30日から1月10日までに新たな新規上場企業の発表はなかった。
現時点で発表済みのIPOはコーユーレンティア (T:7081)(2月7日、ジャスダック)、ジモティー (T:7082)(2月7日、マザーズ)の2社。
レンティアは20日、ジモティーは22日に仮条件決定を予定している。