(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は6日、10年に及ぶ危機との闘いの結果、新型コロナウイルスの発生などの新たな脅威に対して政策当局には追加の金融緩和の選択肢はあまり残っていないと述べた。
総裁はブリュッセルの欧州議会で証言し、域内経済は依然「底堅い」ものの、去ることのない世界的な脅威が経済活動の最近の安定化を覆す恐れがあると警鐘を鳴らし、世界経済環境を取り巻く不確実性は依然として高いと指摘した。
成長鈍化のトレンドと「金融危機が残した影響が金利を押し下げた」とし、「この低金利と低インフレの環境は、ECBや世界の他の中銀が景気悪化に対応して金融政策を緩和できる余地を著しく狭めた」と語った。
政策余地が「著しく」狭まったとの表現は1月の政策委員会の声明より強い。ある意味で、緩和的な金融政策が銀行の収益力低下や資産価格上昇を通じて金融安定を脅かすことを認めたとも言える。
デギンドス副総裁は同日にマドリードでのイベントで、マイナス金利や量的緩和(QE)などの政策の副作用が「より目に見える」ものになりつつあると述べた。
ラガルド総裁は同時に、財政政策による支援の必要性も強調し、「財政余力のある国は、ユーロ圏経済を支えるためにそれを使うことが適切だろうとかねてから明瞭に伝えてきた」と語った。
金融緩和の副作用については、「最新の注意を払う」とした上で、ECBが全ての非難を受け入れることはしないと言明。「ECBの現在の金融政策が実際に住宅価格上昇や一部銀行の収益力低下の主な要因だという結論を導き出すことはない。一因ではあるかもしれないが、主因だというのが当然の結論だとは思わない」と論じた。
原題:Lagarde Warns ECB Has Limited Options to Fight Lingering Threats(抜粋)Lagarde Says ECB Running Out of Room to Fight Global Threats (2)、Lagarde Says All the Blame Can’t Be Dumped on ECB Negative Rates
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