[東京 12日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル高/円安の109円後半。新型肺炎に対する過度のリスク回避が後退したとはいえ、米長期金利は1.61%台で低迷し、ドルは上昇の機動力を失った状態にある。ただ、ドルの下値では本邦実需筋や資本筋の需要があるとされ、底堅さを保った。
ドルは正午にかけてじわじわと買い進まれ、109.89円まで上値を伸ばしたが、午後は伸び悩び、膠着感が強まった。
市場ではドルの下値で、国内年金資金が外債投資に絡むドル買いを入れているとの思惑が広がっている。先に発表された1月の対外中長期債投資で、公的年金の動向を反映するとされる信託勘定が2兆0157億円の買い越しと、遡及可能な2005年1月以降で最大を記録したためだ。
市場では1月中から、ドルが下落する局面では国内勢の買いが目立つとの指摘が多数出ていた。「今回の大規模な対外投資は、昨年から基本ポートフォリオの見直し作業を進めていた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、為替ヘッジなしの外債投資を増やした可能性を示唆しているかもしれない。今後も円売りを伴う本邦投資家による活発な対外投資が、円安圧力としてドル/円相場を下支えするだろう」(JPモルガン・チェース銀行)という。
ユーロは1.09ドル前半で、前日つけた4カ月ぶり安値から反発したが、独経済指標の落ち込みとメルケル独首相の後任を巡る不透明感が上値余地を限定した。
前日の海外市場では1.0891ドルまで下落し昨年10月以来約4カ月ぶりの安値を付けた。対円でも119.59円まで下落し、昨年11月15日以来の安値を付けた。
ドイツのメルケル首相の後継者として最有力候補であった与党キリスト教民主同盟(CDU)のクランプカレンバウアー党首は10日、2021年の選挙戦に出馬しない意向を明らかにし、メルケル首相の後継者選びが振り出しに戻った。
オフショア人民元は1ドル=6.96前半で推移し、前日終盤の6.9692元付近から上昇した。
中国の感染症研究の第一人者が新型肺炎ウイルスの流行が4月ごろに終息する可能性があるとの見方を示したことなどを背景に、過度のリスク回避は後退したが、新型肺炎は米中通商協議にも影を落としているほか、中国の国内経済への悪影響も懸念されている。
オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、新型肺炎が中国との「第1段階」の通商合意に影響する可能性があると述べた。
ドル/円 ユーロ/ドル (EUR=) ユーロ/円 (EURJPY=)
午後3時現在 109.84/86 1.0908/12 119.84/88
午前9時現在 109.83/85 1.0917/21 119.92/96
NY午後5時 109.77/80 1.0914/18 119.83/87
(為替マーケットチーム)