[ニューヨーク 5日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、ドル指数が8週間ぶりの水準に低下した。米連邦準備理事会(FRB)が3日に新型コロナウイルスの感染拡大による米経済への影響を和らげるために緊急利下げを決定したものの、市場で追加利下げが実施されるとの観測が出ていることが売り要因となった。
FRBは50ベーシスポイント(bp)の緊急利下げを実施したが、景気減速の深刻化や長期化を懸念する金融市場の懸念払拭にはつながっておらず、この日の国債市場では米10年債 (US10YT=RR)利回りが0.899%と過去最低水準を更新。外国為替市場ではドルが圧迫された。[nL4N2AW3Z7]
主要6通貨に対するドル指数 (=USD)は一時96.608と、1月6日以来の低水準を更新。終盤の取引では約0.8%安の96.639となっている。
短期金融市場ではFRBが今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で25bp、4月までに50bpの追加利下げが実施されるとの観測が織り込まれている。
テンパス(ワシントン)のシニア外為トレーダー、フアン・ペレス氏は「今回の利下げは緊急的なものだった。このため、FRBは再び同様の緊急利下げを実施するのか、または追加利下げを示唆するのか、疑問が出てくるのは当然だ。FRBはいつ何時でも対応する態勢を整えているようにみえるため、ドルが売られやすい地合いになるのは理解できる」と指摘。アクション・エコノミクスの世界外為分析担当マネジング・ディレクター、ロナルド・シンプソン氏は「米株価が下落し、米国債利回りが過去最低水準を更新したことがドルの重しとなった」と述べた。
ドルは対円で1.2%下落し、6カ月ぶり安値を更新。終盤の取引では106.22円となっている。
カナダドルは対米ドルで下落。カナダ銀行(中央銀行)は前日、政策金利を0.5%ポイント引き下げ1.25%にすることを決定した。利下げは約5年ぶりで、0.5%の大幅利下げは金融危機に見舞われた2009年3月以来となる。[nL4N2AX3YP]
英ポンドは対ドルで0.7%上昇。イングランド銀行(英中央銀行)がFRBに追随して利下げに動くとの観測が後退したことが押し上げ要因となった。
英中銀のベイリー次期総裁は前日、新型ウイルスが経済に及ぼす影響を見極めるまで中銀は待つ必要があると述べたほか、カーニー総裁はこの日、英中銀は追加緩和策を決定する前に新型コロナウイルスの感染拡大が英経済に及ぼす影響の精査に努めると述べ、FRBやカナダ中銀とは異なり、措置を講じる前に影響を明確にする必要があるとの見解を示した。[nL4N2AY419]
ドル/円 NY終値 106.16/106.17
始値 106.88
高値 106.95
安値 105.99
ユーロ/ドル NY終値 1.1239/1.1243
始値 1.1181
高値 1.1244
安値 1.1168