先週の新興市場では、日経平均が下落する一方、マザーズ指数と日経ジャスダック平均は4週ぶりに上昇した。
世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が続き、株式相場も不安定な展開を強いられた。
ただ、マザーズ指数は前の週に一時700ptを割り込むまで急ピッチの調整を見せていたため、成長期待の高い銘柄を中心に押し目買いが入り、材料株での値幅取りを狙った物色も見られた。
なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.9％であったのに対して、マザーズ指数は+2.2％、日経ジャスダック平均は+0.5％だった。
個別では、フリー (T:4478)が週間で4.3％高、ラクス (T:3923)が同5.2％高となったものの、メルカリ (T:4385)が同5.8％安、Sansan (T:4443)が同5.7％安となるなどマザーズ時価総額上位は高安まちまち。
売買代金上位ではイグニス (T:3689)がVR（仮想現実）ライブ展開への期待などから買われ、大阪大学と新型コロナのワクチン開発に着手したアンジェス (T:4563)は週間のマザーズ上昇率トップとなった。
反面、Amazia (T:4424)は買いが一巡すると売りに押され、前の週に上場したAHCグループ (T:7083)などが下落率上位に顔を出した。
ジャスダック主力では2月既存店売上が比較的良好だった日本マクドナルドHD (T:2702)が同7.6％高、ワークマン (T:7564)が同5.3％高、セリア (T:2782)が同7.2％高と堅調。
ただ、外部環境の悪化からハーモニック・ドライブ・システムズ (T:6324)は同8.7％安となった。
売買代金上位では第一商品 (T:8746)などが大きく上昇し、太洋工業 (T:6663)が週間のジャスダック上昇率トップだった。
反面、出前館 (T:2484)は利益確定売り優勢で、fonfun (T:2323)などが下落率上位に顔を出した。
なお、先週から3月のIPOラッシュが始まり、4社が新規上場した。
Kids Smile HD (T:7084)は公開価格を2割ほど上回る初値を付けたが、2社は公開価格割れ、1社は同値にとどまった。
今週の新興市場では、マザーズ指数が引き続き安値圏で推移しそうだ。
日足チャートを見ると、4年ぶり安値水準である700ptがひとまず下値支持線として機能したが、積極的に戻りを試す機運も乏しい。
国内外での新型コロナの影響拡大、さらに急ピッチの円高進行などから日経平均の2万円割れを予想する向きも増えてきている。
実際に大台割れとなると、新興市場でもリスク回避の動きが一層強まる可能性がある。
サーバーワークス (T:4434)など比較的強い値動きの銘柄に加え、見直し機運の出てきたセリアやオイシックス・ラ・大地 (T:3182)にも注目したい。
なお、今週は3月11日にステムリム (T:4599)、12日にバルニバービ (T:3418)、GA technologies (T:3491)、プロレド・パートナーズ (T:7034)、13日にスマレジ (T:4431)、スリー・ディー・マトリックス (T:7777)などが決算発表を予定している。
GA TECHやスマレジは業績の伸びが続くか注目されそうだ。
IPO関連では、6社の新規上場が予定されている。
悪地合いのなか、引き続き公開規模の大きな案件を中心に軟調スタートとなる銘柄が出てくるだろう。
3月17日などは3社同時上場となるため、初値買いの分散も需給面の懸念材料となる。
なお、先週は松屋アールアンドディ {{|0:}}（4月6日、マザーズ）など6社の新規上場が発表され、4月上旬もIPOラッシュが続きそうだ。