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ソフトクリエイトホールディングスは上値試す、23年3月期も収益拡大基調

発行済 2022-03-30 08:51
更新済 2022-03-30 09:05
© Reuters.  ソフトクリエイトホールディングスは上値試す、23年3月期も収益拡大基調

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東1、新市場区分プライム)はECソリューション事業およびITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。22年3月期はクラウドサービスの拡大などで2桁増益予想としている。さらに上振れが濃厚だろう。EC市場拡大やDXの流れも背景として、積極的な事業展開で23年3月期も収益拡大基調だろう。株価は好業績を評価して上場来高値を更新する展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

 ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分(22年3月期から変更)は、ECソリューション事業(ECサイト構築ecbeing、デジタルマーケティング、ECクラウドサービス)およびITソリューション事業(ITクラウドサービス、セキュリティ・インフラ構築サービス、パッケージ、IT機器販売)としている。

 21年3月期のセグメント別売上高(収益認識基準適用前)は、ECソリューション事業が116.9億円(ECサイト構築ecbeingが67.3億円、デジタルマーケティングが43.4億円、ECクラウドサービスが6.1億円)、ITソリューション事業が125.5億円(ITクラウドサービスが13.2億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが38.1億円、パッケージが17.4億円、IT機器販売が56.5億円)だった。

 ECソリューション事業は、連結子会社ecbeingのECサイト構築ソフトecbeingの販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることが強みとして、中~大規模顧客向けを中心に、国内ECサイト累計構築実績は21年3月期末時点で1400サイトを突破している。市場シェアは13年連続1位(出典:富士キメラ総研社の富士マーケティングレポート ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査)である。

 なお連結子会社ecbeingは22年2月、中華圏をはじめとする海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシー(東京都)の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。システム面での連携を強化し、より付加価値の高い中国市場向けソーシャル越境EC事業の実現を目指す。また22年3月には、ecbeingの20年の年間流通総額が6000億円を突破したと発表している。国内ECサイト構築業者としてNO.1の流通額である。

 ITソリューション事業は、自社開発のSCクラウド、不正アクセス端末検知・遮断システムL2Blocker、連結子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型のAgileWorks、クラウド型のX-point Cloud)、連結子会社ソフトクリエイトのシステムインテグレーション・IT機器販売を主力としている。

■クラウドサービスの拡大を推進

 成長戦略としてクラウドサービスの拡大を推進している。クラウドサービスの売上高は18年3月期8.2億円、19年3月期11.9億円、20年3月期15.3億円、21年3月期19.3億円(ECクラウドサービスが6.1億円、ITクラウドサービスが13.2億円)と拡大基調である。

 さらに、独自開発のクラウドサービス(メルカート、ビジュモ、レビコ、サイトミライズ、ゼクスタントなど)の拡販にも注力している。なお22年3月期第1四半期時点の合計導入社数は、ECクラウドサービス分野のメルカートが84社、ビジュモが335社、レビコが48社、サイトミライズが106社、ゼクスタントが30社、ITクラウドサービス分野のSCクラウドが454社、X-point Cloudが847社、L2Blockerが181社となっている。21年6月には、インスタグラムの写真を自社サイトに活用するビジュモのソリューションが、トヨタ自動車公式サイトに採用されている。

■22年3月期2桁増益予想、さらに23年3月期も収益拡大基調

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用で売上高の前期比増減率は非記載、利益に影響なし)は、売上高が192億円、営業利益が21年3月期比10.0%増の35億50百万円、経常利益が10.1%増の35億75百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.0%増の20億円としている。配当予想(10月20日に第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は、21年3月期比10円増配の40円(第2四半期末20円、期末20円)としている。連続増配となる。

 売上高の計画は収益認識基準適用前ベースでは270億円としている。21年3月期実績の242億38百万円との比較で11.4%増収となる。セグメント別売上高(収益認識基準適用後)の計画は、ECソリューション事業が108億円(ECサイト構築ecbeingが70億円、デジタルマーケティングが30億円、ECクラウドサービスが8億円)で、ITソリューション事業が86億円(ITクラウドサービスが16億円、セキュリティ・インフラ構築サービスが43億円、パッケージが18億円、IT機器販売が9億円)としている。なお会計基準変更の影響は特にIT機器販売において見掛け上の減収要因となる。

 第3四半期累計は売上高が156億65百万円、営業利益が前年同期比19.5%増の31億45百万円、経常利益が22.3%増の32億49百万円、親会社株主帰属四半期純利益が23.6%増の18億89百万円だった。収益認識基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が49億71百万円減少、売上原価が50億円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ28百万円増加している。

 収益認識基準適用のため見掛け上は減収の形(特に物品販売の売上に影響)だが、従来基準による売上高は17.7%増の206億円だった。ECサイト構築やECクラウドサービスへの投資需要が高水準に推移してECソリューション事業が順調に拡大した。子会社エイトレッド<3969>のワークフローサービスなどITソリューション事業も順調に拡大した。人件費の増加などを吸収して大幅増益だった。

 セグメント別に見ると、ECソリューション事業は売上高が86億45百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前経常利益)が22.6%増の25億07百万円、ITソリューション事業は売上高が70億20百万円で、利益が24.9%増の17億58百万円だった。収益認識基準適用の影響額として、ECソリューション事業は売上高が17億45百万円減少して利益が26百万円増加、ITソリューション事業は売上高が32億25百万円減少して利益が2百万円増加している。

 なおECソリューション事業の売上構成比はECサイト構築が58.9%、デジタルマーケティングが20.7%、ECクラウドサービスが6.8%、ITソリューション事業の売上構成比はセキュリティ・インフラ構築が33.1%、ITパッケージが13.1%、ITクラウドサービスが12.1%、IT機器が11.9%だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が49億26百万円で経常利益が9億51百万円、第2四半期は売上高が53億51百万円で経常利益が11億98百万円、第3四半期は売上高が53億88百万円で経常利益が11億円だった。

 通期もクラウドサービスが大幅伸長し、人件費・採用費・広告宣伝費の増加を吸収して2桁増収増益予想としている。先行き不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第3四半期累計の進捗率は売上高が81.6%、営業利益が88.6%、経常利益が90.9%、親会社株主帰属当期純利益が94.5%と高水準である。通期予想は上振れが濃厚だろう。EC市場拡大やDXの流れも背景として、積極的な事業展開で23年3月期も収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回

 株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は保有株式数および保有期間に応じてオリジナルQUOカードを贈呈する。

■株価は上値試す

 なお22年1月7日に発表した自己株式取得(上限12.5万株・5億円、取得期間は22年1月11日~22年3月11日)については、22年3月11日時点での累計買付株式数が12万2100株となって終了した。

 株価は好業績を評価して上場来高値を更新する展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。3月29日の終値は4755円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS150円51銭で算出)は約32倍、今期予想配当利回り(会社予想の40円で算出)は約0.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS958円00銭で算出)は約5.0倍、時価総額は約655億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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