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アイフリークモバイルは調整一巡、23年3月期営業増益予想で収益改善基調

発行済 2022-05-26 08:42
更新済 2022-05-26 09:05

 アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開し、次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。22年3月期はコンテンツ事業の好調、コンテンツクリエイターサービス事業の受注回復や組織再編による管理効率化などで営業黒字転換した。配当は10期ぶりの復配とした。23年3月期も営業増益予想としている。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は地合い悪化も影響して4月の戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。

■コンテンツ事業とコンテンツクリエイターサービス事業を展開

 携帯電話・スマートフォン向けコンテンツ企画・開発・配信のコンテンツ事業、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比はコンテンツ事業11%、CCS事業89%、利益構成比(全社費用等調整前営業利益)はコンテンツ事業21%、CCS事業79%だった。

 コンテンツ事業は、デジタル素材「デココレ」を主力として、電子絵本アプリや知育アプリ「あそびタッチ」などの親子向けサービス、オリジナル絵文字やグループチャットを搭載したウォレットアプリ「Challet」も展開している。絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。

 デジタルコンテンツについては、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。

 CCS事業では、21年1月に孫会社ファンレボの全株式を譲渡、21年2月に子会社アイフリークGAMESを吸収合併、21年6月に子会社リアリゼーションを吸収合併し、CCS事業の運営体制を効率化した。

 なお22年2月には有信アクロス(大阪府吹田市)と、障がい児向け知育アプリ提供事業に関する業務提携に向けた基本合意書を締結した。有信アクロスは全国219ヶ所で放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」をフランチャイズ展開するとともに、児童発達支援も行っている。知育アプリを搭載したタブレット端末提供や、障がい児用アプリ開発に向けてテストマーケティングを実施する。

 22年3月には、Jリーグクラブ「ジュビロ磐田」を運営するジュビロとサポーティングカンパニー契約を締結した。同クラブのマスコットキャラクターが登場する電子絵本を共同制作する。

■NFTコンテンツ分野も注力

 成長戦略としては、CCS事業を基盤にコンテンツ事業の収益化を目指す方針としている。重点施策として、コンテンツ事業におけるユーザー数の拡大、20万点以上のデジタルコンテンツ資産の有効活用、CCS事業における人材確保、専門領域に特化したエンジニアチームの育成、協業先の開拓などを推進する。さらに次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。

 20年9月にはミャンマーの新興通信事業者GALAXIA社と、ミャンマーにおけるモバイルコンテンツサービス分野およびシステムインテグレーション分野で業務提携した。20年10月にはRPA導入コンサルティングサービスのITSO社と業務提携、20年11月にはITエンジニア育成EdTechサービスのヒートウェーブと業務提携、20年12月にはAI CROSS社とセールスパートナー契約を締結した。

 21年10月には、UUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社と、戦略的業務提携契約を締結した。CREPOSクリエイターへのNFT販売支援や、新たなNFTコンテンツの開発・販売などを共同で推進する。

 21年11月にはFORO社が運営するNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム第1弾」を本格始動した。

 21年12月には、ブロックチェーンに関するコンサルティング事業や暗号資産交換業向けウォレットシステム開発などを展開するHashPort社と、NFTマーケットプレイス「CREPOS NFTマーケット」(仮称)の開設、およびNFT分野における新たな取り組み開始に関する契約を締結した。クリエイターのNFTアートをメタバース上で展示・販売する新サービスなども検討する方針だ。

 なお22年3月にHashPort社とのNFT分野に関する取り組み内容の一部変更を発表している。予定していたNFTマーケットプレイス「CREPOS NFTマーケット」(仮称)を開設するのではなく、HashPort社のNFT事業子会社であるHashPalette社が22年4月にサービスリリースするNFTマーケットプレイス「PLT Place」にて、CREPOSクリエイターのNFTを配信する。

■22年3月期営業黒字転換、23年3月期も営業増益予想で収益改善基調

 22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響軽微)は、売上高が21年3月期比15.0%減の26億27百万円、営業利益が1億62百万円の黒字(21年3月期は1億51百万円の赤字)、経常利益が2億59百万円の黒字(同13百万円の黒字)、親会社株主帰属当期純利益が2億52百万円の黒字(同73百万円の赤字)だった。配当は10期ぶりの復配で3円(期末一括)とした。

 コンテンツ事業の好調、コンテンツクリエイターサービス事業における受注回復や組織再編による管理効率化などで営業黒字転換した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高と売上原価がそれぞれ2百万円増加したが、利益への影響はなかった。

 コンテンツ事業は、売上高が8.3%増の3億01百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が86.6%増の86百万円だった。著名人とのコラボ絵本配信やSDGsを扱った絵本シリーズなど多数の企画を実施し、ICT教育やNFTを活用した取り組みも開始した。

 コンテンツクリエイターサービス事業は、売上高が17.3%減の23億25百万円で、利益が10.0倍の3億30百万円だった。受注回復して稼働率が高い水準で推移し、事業効率向上やコスト削減に向けた子会社吸収合併など組織変更の取り組みも推進した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が6億58百万円で営業利益が31百万円、第2四半期は売上高が6億41百万円で営業利益が41百万円、第3四半期は売上高が6億56百万円で営業利益が60百万円、第4四半期は売上高が6億72百万円で営業利益が30百万円だった。営業黒字が定着して収益改善基調である。

 23年3月期連結業績予想は売上高が22年3月期比12.9%増の29億64百万円、営業利益が4.9%増の1億70百万円、経常利益が21.8%減の2億02百万円、親会社株主帰属当期純利益が24.4%減の1億91百万円としている。配当予想は22年3月期と同額の3円(期末一括)としている。

 コンテンツ事業では、ユーザーの獲得や継続率の向上のための投資、育児をするママパパをターゲットとしたベビーテックサービスの提供を推進する。コンテンツクリエイターサービス事業では、RPA、メタバース(VR/AR)、データサイエンス、ゲーム等の専門領域に特化したエンジニアの育成を推進する。積極的な事業展開で収益改善基調だろう。

 なお6月28日開催予定の第22期定時株主総会に資本金および資本準備金の額の減少を付議する。資本金の額の減少については資本金3555万円のうち2555万円を減少して、その他資本剰余金に振り替える。減少後の資本金は1000万円となる。資本準備金の額の減少については資本準備金2555万円のうち2555万円を減少して、その他資本剰余金に振り替える。減少後の資本準備金は0円となる。純資産の部における科目間の振替処理であり、純資産の額に変動はない。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して4月の戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。5月25日の終値は144円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS10円72銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の3円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS40円65銭で算出)は約3.5倍、そして時価総額は約26億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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