■業績動向
1. 2022年3月期の業績概要
兵機海運 (TYO:9362)の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比23.7%増の16,087百万円、営業利益で同162.3%増の488百万円、経常利益で同149.5%増の523百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.7%増の358百万円となり、期初計画ならびに期中に上方修正した会社計画を上回った。
全事業で主要貨物の取扱量が増加したことが大きい。
主力の内航事業では鉄鋼、外航事業ではタイヤ・建機の輸送需要が増加した。
港運事業では輸入食品、倉庫事業では、危険物の取扱量が増加した。
2022年3月期の取扱輸送量は前期比19.5%増の3,984千トンであり、輸送品目別数量では主力の鉄鋼が同32.0%増の2,106千トンと好調に推移した(構成比52.9%)。
2022年3月期の連結売上高で前期比23.7%増の16,087百万円であり、輸送品目別売上高は主力の鉄鋼で同27.0%増の7,268百万円となり、増収を牽引した(構成比45.2%)。
営業利益は同162.3%増で488百万円、経常利益は同149.5%増で523百万円となり、増収に伴う増益効果で収益性も改善した。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益は同10.7%増の358百万円となった。
2021年3月期は固定資産売却益298百万円を特別利益に計上したことにより最終利益を押し上げたが、2022年3月期はこのような多額の特別利益の計上がないなかで、増益となった。
両セグメントの収益性は改善傾向に
2. セグメント別の業績概要
(1) 海運事業
2022年3月期の海運事業は、売上高で前期比26.3%増の8,598百万円、営業利益で同193.1%増の381百万円であり、内航事業と外航事業がともに良好に推移した。
内航事業は、売上高で前期比18.2%増の6,632百万円、営業利益で同136.9%増の272百万円となった。
国内鉄鋼市場が総じて堅調に推移したことにより、鋼材及び原材料スクラップの輸送量が増加したことが主因である。
燃料価格の高騰が続いていること、所属船の傭船料改定を実施したことにより費用は増加したものの、効率的な配船により運航稼働率を向上させ、収益性は改善した。
外航事業は、売上高で前期比64.4%増の1,966百万円、営業利益で同597.5%増の108百万円となった。
2022年3月期第4四半期半ばにロシアがウクライナへ侵攻した影響により、同社の主力航路である極東ロシア航路に地政学リスクが顕在化した。
ただ、3月上旬までは極東ロシア航路が好調に推移したこと、台湾航路も堅調に推移したこと、新規に委託船を用いた建機類の輸送や三国間輸送の取り扱いが見られたこと、円安によるドル建ての海上運賃差益が発生したことにより、大幅な増益となった。
(2) 港運・倉庫事業
2022年3月期の港運・倉庫事業は、売上高で前期比20.9%増の7,488百万円、営業利益で同92.7%増の106百万円となり、港運事業が良好に推移した。
港運事業は、売上高で前期比26.0%増の5,984百万円、営業利益は前期の営業損失12百万円に対して、営業利益83百万円となった。
コロナ禍による海外港湾作業の停滞や各国の海上コンテナ需要の増加等により、世界的な海上輸送費の高騰が前期より続いている。
原材料や半導体不足がメーカーの生産計画に影響を与え、輸出入スケジュールが不安定となったものの、新規スポット案件等を獲得した。
その結果、取扱通関件数は輸出・輸入ともに前期を上回った。
倉庫事業は、売上高で前期比4.3%増の1,503百万円、営業利益で同66.3%減の22百万円となった。
普通品倉庫での一般貨物取扱は、コロナ禍による物流の停滞で苦戦を強いられた。
ただ、港運・倉庫事業が一体となる営業活動を実施したことにより、付加価値の高い危険物の取り扱いは増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)
1. 2022年3月期の業績概要
兵機海運 (TYO:9362)の2022年3月期の連結業績は、売上高で前期比23.7%増の16,087百万円、営業利益で同162.3%増の488百万円、経常利益で同149.5%増の523百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.7%増の358百万円となり、期初計画ならびに期中に上方修正した会社計画を上回った。
全事業で主要貨物の取扱量が増加したことが大きい。
主力の内航事業では鉄鋼、外航事業ではタイヤ・建機の輸送需要が増加した。
港運事業では輸入食品、倉庫事業では、危険物の取扱量が増加した。
2022年3月期の取扱輸送量は前期比19.5%増の3,984千トンであり、輸送品目別数量では主力の鉄鋼が同32.0%増の2,106千トンと好調に推移した(構成比52.9%)。
2022年3月期の連結売上高で前期比23.7%増の16,087百万円であり、輸送品目別売上高は主力の鉄鋼で同27.0%増の7,268百万円となり、増収を牽引した(構成比45.2%)。
営業利益は同162.3%増で488百万円、経常利益は同149.5%増で523百万円となり、増収に伴う増益効果で収益性も改善した。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益は同10.7%増の358百万円となった。
2021年3月期は固定資産売却益298百万円を特別利益に計上したことにより最終利益を押し上げたが、2022年3月期はこのような多額の特別利益の計上がないなかで、増益となった。
両セグメントの収益性は改善傾向に
2. セグメント別の業績概要
(1) 海運事業
2022年3月期の海運事業は、売上高で前期比26.3%増の8,598百万円、営業利益で同193.1%増の381百万円であり、内航事業と外航事業がともに良好に推移した。
内航事業は、売上高で前期比18.2%増の6,632百万円、営業利益で同136.9%増の272百万円となった。
国内鉄鋼市場が総じて堅調に推移したことにより、鋼材及び原材料スクラップの輸送量が増加したことが主因である。
燃料価格の高騰が続いていること、所属船の傭船料改定を実施したことにより費用は増加したものの、効率的な配船により運航稼働率を向上させ、収益性は改善した。
外航事業は、売上高で前期比64.4%増の1,966百万円、営業利益で同597.5%増の108百万円となった。
2022年3月期第4四半期半ばにロシアがウクライナへ侵攻した影響により、同社の主力航路である極東ロシア航路に地政学リスクが顕在化した。
ただ、3月上旬までは極東ロシア航路が好調に推移したこと、台湾航路も堅調に推移したこと、新規に委託船を用いた建機類の輸送や三国間輸送の取り扱いが見られたこと、円安によるドル建ての海上運賃差益が発生したことにより、大幅な増益となった。
(2) 港運・倉庫事業
2022年3月期の港運・倉庫事業は、売上高で前期比20.9%増の7,488百万円、営業利益で同92.7%増の106百万円となり、港運事業が良好に推移した。
港運事業は、売上高で前期比26.0%増の5,984百万円、営業利益は前期の営業損失12百万円に対して、営業利益83百万円となった。
コロナ禍による海外港湾作業の停滞や各国の海上コンテナ需要の増加等により、世界的な海上輸送費の高騰が前期より続いている。
原材料や半導体不足がメーカーの生産計画に影響を与え、輸出入スケジュールが不安定となったものの、新規スポット案件等を獲得した。
その結果、取扱通関件数は輸出・輸入ともに前期を上回った。
倉庫事業は、売上高で前期比4.3%増の1,503百万円、営業利益で同66.3%減の22百万円となった。
普通品倉庫での一般貨物取扱は、コロナ禍による物流の停滞で苦戦を強いられた。
ただ、港運・倉庫事業が一体となる営業活動を実施したことにより、付加価値の高い危険物の取り扱いは増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)