[東京 9日 ロイター] - 今週の東京株式市場は、レンジ内での動きが想定される。前週末発表の1月米雇用統計が市場予想を上回り、外為市場で円安が進んだため週明けは買いが先行する見通し。原油価格の底入れ期待から世界的なリスク回避姿勢も和らいでいるが、ギリシャの債務交渉は依然先行き不透明。国内企業決算では市場の期待ほど全体のEPS(一株利益)が上がらず、日経平均を押し上げるインパクトに欠ける。今週は祝日を挟んで取引日数は4日。主要企業の決算発表が週前半で一巡すると国内では材料不足となり、為替、海外情勢などの外部要因に一喜一憂する展開が見込まれる。
日経平均の予想レンジは1万7400円─1万8000円。
上場企業の4―12月期決算は、円安効果や構造改革などにより総じて好調だ。2015年3月期は経常利益ベースで過去最高を更新する勢いだが、株式市場の反応は鈍い。日経平均は1万7800―1万8000円が強い抵抗帯となり上値が重くなっている。 背景には当期利益の伸び悩みがある。原油を中心とする資源価格の下落で、総合商社が軒並み減損処理を行ったほか、石油関連企業でも原油在庫の評価損が想定以上に膨らんだ。「上方修正が相次ぎEPSが上昇するという、当初のシナリオと違う展開になっている」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)という。日経平均の予想PERは、依然15倍台半ばで日本株の割安感が際立つほどではない。9日の日産 7201.T 、10日のソフトバンク 9984.T で3月期企業の決算発表が一巡すると、手がかり材料は乏しくなる。
レンジ相場を打ち破るには海外投資家の本格参入が不可欠だが、ギリシャの債務問題がくすぶり、日本株の割安感も乏しい状況で、過度な期待はできないとの見方が市場の大勢だ。日銀の追加緩和期待も後退し、海外勢を刺激する材料が不足している。日米金利差が拡大しさらに円安が進むという展開にならなければ、引き続き株価の上値は重そうだ。 一方、原油価格の底入れ期待から世界的なリスク回避姿勢は和らいでいる。下がれば日銀のETF買いやGPIFの買いが入るとの期待も、投資家心理を支え続ける。下値も限定的と考えられる。9日には1月景気ウォッチャー調査が発表されるが、12月は企業、雇用、家計の現状判断DIがすべて上昇した。「足元の原油安の影響からマインドが一段と改善すれば株価下支えの材料になる」(大手証券)とみられている。
経済指標では9日には1月景気ウォッチャー調査のほか、12月経常収支が、12日には12月機械受注が発表される。13日はオプションSQ(特別清算指数)算出日。海外では9―10日にトルコで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。
(株式マーケットチーム※)