■業績動向
1. 2023年3月期第2四半期の業績動向
シナネンホールディングス (TYO:8132)の2023年3月期第2四半期の業績は、売上高139,740百万円(前年同期比39.0%増)、営業損失820百万円(前年同期は42百万円の損失)、経常損失425百万円(前年同期は323百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益852百万円となった。
厳しい決算に見えるが、先行投資の積極化などが背景にあり、おおむね計画通りの進捗だったようだ。
日本経済は、コロナ禍の影響から持ち直す動きが見られた一方、ウクライナ情勢の長期化、世界的な原材料価格・資源価格の高騰、急激な円安の進行などにより、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続いた。
国内エネルギー業界では、ロシア産原油の供給を巡る不透明感が根強いなか、主力の石油類・LPガスの仕入価格に影響する原油価格・プロパンCPが、主要先進国の金融引き締めによる景気後退懸念から外貨ベースでは下落基調に転換したものの、急激な円安進行によって円換算では高値圏で推移した。
また、電力は、6月の電力逼迫注意報の発令や7月の政府による節電要請など電力需給が逼迫したことで、卸電力市場価格の高騰が続き、電力事業の拡大を目指す同社にとってリスクとなった。
さらに、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた第6次エネルギー基本計画が2021年10月に閣議決定されるなど、同社を取り巻く事業環境は中長期的にも大きな変化点にあるといえる。
このような環境のなか、「Challenging New Worlds with Big Sky-thinking~大胆な発想で新しい世界への挑戦~」をスローガンとした第二次中期経営計画の最終年度を迎えた同社は、第三次中期経営計画での躍進に向けた基盤整備を進めるため、既存事業の選択と集中や低効率資産の活用・売却による資本効率の改善を推進、シェアサイクル事業など新規事業への戦略投資を実行し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けたIT・人財関連投資を加速した。
このため、石油類・ガス類の売上数量は平年並みで推移したが、原油価格・プロパンCPの高騰に伴う販売単価の上昇により、売上高は大幅な増加となった。
利益面では、価格転嫁を進めたものの原油価格・プロパンCPの高騰によりLPガスや電力の採算が悪化したが、石油類で差益を確保できたため、売上総利益は全体で微増となった。
一方、ITや人財関連、新規事業などへの先行的投資により支払手数料や人件費などが増加、経済が正常化するなか旅費交通費や通信費の増加もあって、販管費は売上総利益を上回る伸びとなった。
なお、韓国の大型陸上風力発電事業に関連する株式の再評価に伴いのれん残高4億円強を特別損失で一括償却したが、東京都品川区の固定資産売却益21億円を特別利益に計上したため、親会社株主に帰属する四半期純利益は大幅な伸びとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
1. 2023年3月期第2四半期の業績動向
シナネンホールディングス (TYO:8132)の2023年3月期第2四半期の業績は、売上高139,740百万円(前年同期比39.0%増)、営業損失820百万円(前年同期は42百万円の損失)、経常損失425百万円(前年同期は323百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益852百万円となった。
厳しい決算に見えるが、先行投資の積極化などが背景にあり、おおむね計画通りの進捗だったようだ。
日本経済は、コロナ禍の影響から持ち直す動きが見られた一方、ウクライナ情勢の長期化、世界的な原材料価格・資源価格の高騰、急激な円安の進行などにより、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続いた。
国内エネルギー業界では、ロシア産原油の供給を巡る不透明感が根強いなか、主力の石油類・LPガスの仕入価格に影響する原油価格・プロパンCPが、主要先進国の金融引き締めによる景気後退懸念から外貨ベースでは下落基調に転換したものの、急激な円安進行によって円換算では高値圏で推移した。
また、電力は、6月の電力逼迫注意報の発令や7月の政府による節電要請など電力需給が逼迫したことで、卸電力市場価格の高騰が続き、電力事業の拡大を目指す同社にとってリスクとなった。
さらに、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた第6次エネルギー基本計画が2021年10月に閣議決定されるなど、同社を取り巻く事業環境は中長期的にも大きな変化点にあるといえる。
このような環境のなか、「Challenging New Worlds with Big Sky-thinking~大胆な発想で新しい世界への挑戦~」をスローガンとした第二次中期経営計画の最終年度を迎えた同社は、第三次中期経営計画での躍進に向けた基盤整備を進めるため、既存事業の選択と集中や低効率資産の活用・売却による資本効率の改善を推進、シェアサイクル事業など新規事業への戦略投資を実行し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けたIT・人財関連投資を加速した。
このため、石油類・ガス類の売上数量は平年並みで推移したが、原油価格・プロパンCPの高騰に伴う販売単価の上昇により、売上高は大幅な増加となった。
利益面では、価格転嫁を進めたものの原油価格・プロパンCPの高騰によりLPガスや電力の採算が悪化したが、石油類で差益を確保できたため、売上総利益は全体で微増となった。
一方、ITや人財関連、新規事業などへの先行的投資により支払手数料や人件費などが増加、経済が正常化するなか旅費交通費や通信費の増加もあって、販管費は売上総利益を上回る伸びとなった。
なお、韓国の大型陸上風力発電事業に関連する株式の再評価に伴いのれん残高4億円強を特別損失で一括償却したが、東京都品川区の固定資産売却益21億円を特別利益に計上したため、親会社株主に帰属する四半期純利益は大幅な伸びとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)