[ニューヨーク/ロンドン 14日 ロイター] - ニューヨーク外為市場ではドルが全面安となった。対円では4カ月超ぶり、対ユーロでは2週間ぶりの安値をそれぞれ付けた。米連邦準備理事会(FRB)が13日までに開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で来年に利下げに着手する可能性を示唆したことが引き続き材料視された。
一方、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中央銀行)が14日、高水準の政策金利が長期間維持される可能性を示したことを受け、ユーロとポンドは上昇した。
パウエルFRB議長は前日のFOMC後の記者会見で、見通しの不透明さを指摘し、政策当局者が利下げを視野に入れる中でも、現時点では利上げを明確に否定することはできないと表明。「政策金利が引き締めサイクルのピークに達したか、その近くにあると考えている」としながらも、経済の予測不可能な性質を踏まえると、FRB当局者は「一段の利上げが適切になる可能性は低いと考えると同時に、その可能性を排除したくない」と述べた。
BofAグローバル・リサーチのG10為替戦略グローバルヘッド、アタナシオス・バンバキディス氏は「昨日のFRBは非常にハト派的だった」と述べた。
米金利先物市場では、FRBが来年3月に0.25%ポイント利下げを実施し、2024年12月までの利下げ幅が計1.50%ポイントになるという観測がほぼ完全に織り込まれた。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.89%安の101.95。一時、8月10日以来の安値となる101.76を付ける場面もあった。
朝方発表された11月の米小売売上高が前月比0.3%増と、市場予想の0.1%減に反して増加したことを受け、ドルは一時下げ幅を縮小した。
ユーロ/ドルは1.08%高の1.0991ドルと、11月29日以来の高値を付けた。
ECBは14日の理事会で、政策金利の据え置きを決定した。据え置きは2会合連続。インフレ期待の低下にもかかわらず金利は高水準にとどまると改めて確認し、利下げ観測を押し戻した。
JPモルガン・プライベート・バンクのグローバル為替戦略責任者サミュエル・ジーフ氏は「ECBが前日のFRBのハト派転換を上回ることはできなかった」とし、ECBの最新経済見通しからは「制約的な政策からの転換を急ぐ理由は見当たらない」と述べた。
ポンド/ドルは一時1.11%上昇し、8月22日以来の高値を付けた。英中銀は14日の会合で、政策金利を15年ぶり高水準となる5.25%に据え置き、金利が「長期にわたり」高止まりする必要があるとの認識を改めて示した。
ドルは対スイスフランで0.63%下落し、7月27日以来の安値を付けた。スイス国立銀行(中央銀行)は14日、政策金利を予想通り1.75%に据え置いた。声明で「インフレ圧力はこの四半期でわずかに低下した。しかし不確実性は依然として高い。従って引き続きインフレの動向を注意深く監視し、必要に応じて金融政策を調整する」とした。
ドルはノルウェークローネに対しても2.28%安と、8月15日以来の安値を付けた。ノルウェー中央銀行は14日、インフレに対処するため政策金利を25ベーシスポイント引き上げ4.50%とした。市場では据え置き予想が優勢だったためサプライズとなった。 ドル/円は0.68%安の141.94円。円は一時、7月31日以来の高値を付けた。
豪ドルは0.54%高の0.6696米ドル。11月の豪就業者数の伸びが2カ月連続で予想を大幅に上回ったことを受け、豪ドルは一時、4カ月超ぶりの高値となる0.6728米ドルを付けた。
暗号資産(仮想通貨)ではビットコインが0.25%高の4万2994ドル。
ドル/円 NY終値 141.87/141.89
始値 141.41
高値 142.27
安値 141.36
ユーロ/ドル NY終値 1.0991/1.0995
始値 1.0929
高値 1.1008
安値 1.0908