*18:00JST 【原油相場の特徴と今後の注目点】~価格動向予想と原油先物の魅力~vol.1
以下は、2024年10月16日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された【原油相場の特徴と今後の注目点】です。
価格動向予想と原油先物の魅力を、フィスコ・アナリストの白幡玲美が解説いたします。
皆さん、こんにちは。
フィスコ・アナリストの白幡玲美です。
本日は原油相場の特徴、今後の注目点、原油投資を実際に行う場合の先物の特徴についてお話します。
世界の原油市場は、域内の原油消費を背景に、北米、欧州、アジアの三大市場が形成されています。
原油先物といえば、最もポピュラーなのはニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI(West Texas Intermediate)原油先物になります。
WTI原油先物は、アメリカ産の軽質原油を基にした先物取引で、NYMEXで取引される主要な商品です。
WTI原油は世界的に原油価格の指標として広く利用されており、特に北米市場での指標として重要なものとなっています。
同原油は硫黄含有量が少なく、軽質で精製しやすいという特性を持つため、ガソリンや軽油の生産に適しています。
欧州市場では、北海で産出される硫黄分が少ない高品質なブレント原油が指標原油です。
ブレント原油先物はインターコンチネンタル取引所(ICE)傘下のICEフューチャーズ・ヨーロッパで取引されています。
アジア市場は、中東産原油の流通が最も多く、その指標となる原油はドバイ原油とオマーン原油です。
東京商品取引所(TOCOM)はドバイ原油先物の取引が行われており、日本やアジアのエネルギー市場で重要な役割を担っています。
ちなみに、国際商品である原油はドル建てで取引されるのが一般的ですが、TOCOMのドバイ原油先物は日本の市場参加者を考慮して円建てで取引されています。
このため、TOCOMのドバイ原油先物は、ドルベースでの価格変動に加え、為替変動(ドル円)の影響を受けることになります。
また、TOCOMのドバイ原油先物は、1キロリットル当たりで価格形成されますが、WTI原油先物とブレント原油先物は1バレル(0.159キロリットル)当たりの価格が形成されますので、1取引単位当たりの原油のボリュームも異なります。
原油価格の動きを見てみましょう。
2020年1月には新型コロナウイルスの影響が拡大し始め、経済活動が低迷する懸念から原油価格が下落しています。
4月には歴史的な大事件が発生しました。
なんとコロナ禍による需要急減と在庫逼迫で、WTI原油先物価格がマイナス37ドルまで下落したのです。
チャートは終値ベースなので記録されていませんが、史上初のマイナス価格となりました。
その後、2021年末にかけては、主要産油国の協調減産や経済再開への期待から価格は戻り基調となりました。
2022年には、また事件が起こります。
ロシアのウクライナ侵攻により、エネルギー供給への懸念が高まり、WTI原油価格は100ドルを突破、3月には130ドルに迫る局面もありました。
足もとでは、供給制約や季節的需要の影響はあったものの、世界的な景気減速の懸念が強く、価格は90ドルに達することなく、70ドル台後半から80ドルの範囲で推移しています。
原油先物は、需給のバランス、経済の動向、地政学的リスクなどが価格形成に大きな影響を与えるということを、理解してもらえましたでしょうか。
需給のバランス、地政学的リスクは、方向性を判断できる指標があります。
1. OPECプラスの動向(減産・増産)
・石油輸出国機構(OPEC)は年2回定例総会を開催しています。
加盟国の要請により臨時開催もあります。
加盟国の原油生産割当量を決定するものですが、その動向は原油価格に影響を与えることになります。
・足もとでは、2024年10月から自主減産の縮小を予定していたが、原油価格の低迷により2か月後ろ倒しとなっています
2. 原油需要の動向
・国際エネルギー機関(IEA)、OPECが世界需給などを月報で発表しています。
それぞれが発表する世界の原油需要見通しは市場関係者が注視しています。
・米国の原油在庫は毎週、米国石油協会(API) などが発表しています。
原油在庫量が増加する場合は需要の低迷を意味し、原油価格には売り材料です。
在庫量が減少した場合は需要の増加を意味し、原油価格の買い材料となります。
地政学的リスクは、特に中東情勢が重要です。
主要産油国の政情が不安定化し、地域紛争など地政学リスクが高まると、原油価格は不規則な値動きを迫られる傾向があります。
最近では、中東情勢の動向は原油価格に影響します。
【原油相場の特徴と今後の注目点】~価格動向予想と原油先物の魅力~vol.2に続く
価格動向予想と原油先物の魅力を、フィスコ・アナリストの白幡玲美が解説いたします。
皆さん、こんにちは。
フィスコ・アナリストの白幡玲美です。
本日は原油相場の特徴、今後の注目点、原油投資を実際に行う場合の先物の特徴についてお話します。
世界の原油市場は、域内の原油消費を背景に、北米、欧州、アジアの三大市場が形成されています。
原油先物といえば、最もポピュラーなのはニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されているWTI(West Texas Intermediate)原油先物になります。
WTI原油先物は、アメリカ産の軽質原油を基にした先物取引で、NYMEXで取引される主要な商品です。
WTI原油は世界的に原油価格の指標として広く利用されており、特に北米市場での指標として重要なものとなっています。
同原油は硫黄含有量が少なく、軽質で精製しやすいという特性を持つため、ガソリンや軽油の生産に適しています。
欧州市場では、北海で産出される硫黄分が少ない高品質なブレント原油が指標原油です。
ブレント原油先物はインターコンチネンタル取引所(ICE)傘下のICEフューチャーズ・ヨーロッパで取引されています。
アジア市場は、中東産原油の流通が最も多く、その指標となる原油はドバイ原油とオマーン原油です。
東京商品取引所(TOCOM)はドバイ原油先物の取引が行われており、日本やアジアのエネルギー市場で重要な役割を担っています。
ちなみに、国際商品である原油はドル建てで取引されるのが一般的ですが、TOCOMのドバイ原油先物は日本の市場参加者を考慮して円建てで取引されています。
このため、TOCOMのドバイ原油先物は、ドルベースでの価格変動に加え、為替変動(ドル円)の影響を受けることになります。
また、TOCOMのドバイ原油先物は、1キロリットル当たりで価格形成されますが、WTI原油先物とブレント原油先物は1バレル(0.159キロリットル)当たりの価格が形成されますので、1取引単位当たりの原油のボリュームも異なります。
原油価格の動きを見てみましょう。
2020年1月には新型コロナウイルスの影響が拡大し始め、経済活動が低迷する懸念から原油価格が下落しています。
4月には歴史的な大事件が発生しました。
なんとコロナ禍による需要急減と在庫逼迫で、WTI原油先物価格がマイナス37ドルまで下落したのです。
チャートは終値ベースなので記録されていませんが、史上初のマイナス価格となりました。
その後、2021年末にかけては、主要産油国の協調減産や経済再開への期待から価格は戻り基調となりました。
2022年には、また事件が起こります。
ロシアのウクライナ侵攻により、エネルギー供給への懸念が高まり、WTI原油価格は100ドルを突破、3月には130ドルに迫る局面もありました。
足もとでは、供給制約や季節的需要の影響はあったものの、世界的な景気減速の懸念が強く、価格は90ドルに達することなく、70ドル台後半から80ドルの範囲で推移しています。
原油先物は、需給のバランス、経済の動向、地政学的リスクなどが価格形成に大きな影響を与えるということを、理解してもらえましたでしょうか。
需給のバランス、地政学的リスクは、方向性を判断できる指標があります。
1. OPECプラスの動向(減産・増産)
・石油輸出国機構(OPEC)は年2回定例総会を開催しています。
加盟国の要請により臨時開催もあります。
加盟国の原油生産割当量を決定するものですが、その動向は原油価格に影響を与えることになります。
・足もとでは、2024年10月から自主減産の縮小を予定していたが、原油価格の低迷により2か月後ろ倒しとなっています
2. 原油需要の動向
・国際エネルギー機関(IEA)、OPECが世界需給などを月報で発表しています。
それぞれが発表する世界の原油需要見通しは市場関係者が注視しています。
・米国の原油在庫は毎週、米国石油協会(API) などが発表しています。
原油在庫量が増加する場合は需要の低迷を意味し、原油価格には売り材料です。
在庫量が減少した場合は需要の増加を意味し、原油価格の買い材料となります。
地政学的リスクは、特に中東情勢が重要です。
主要産油国の政情が不安定化し、地域紛争など地政学リスクが高まると、原油価格は不規則な値動きを迫られる傾向があります。
最近では、中東情勢の動向は原油価格に影響します。
【原油相場の特徴と今後の注目点】~価格動向予想と原油先物の魅力~vol.2に続く