■要約
アンジェスMG (T:4524)は、1999年に設立された大阪大学発の創薬ベンチャー遺伝子医薬に特化した開発を進めている新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況等によって得られるマイルストーン収益、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルとなる
1. 2016年12月期は研究開発費負担増で損失が拡大
2016年12月期の事業収益は前期比19.6%増の514百万円、営業損失は4,763百万円(前期は4,171百万円の損失)となった2016年12月に、同社が保有する子宮頸部前がん治療ワクチン(以下、CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権を、森下仁丹に再許諾する契約を締結し、契約一時金を計上したことが増収要因となった一方で、国内外での臨床試験費用及び非臨床試験費用の増加に伴い、研究開発費が前期比655百万円増加したことが損失拡大要因となった
2. 2017年12月期は2つの臨床試験を海外でスタート
2017年12月期の連結業績は、事業収益で360百万円、営業損失で3,400百万円を見込んでいる事業収益については商品売上高のみを計画に織り込んでいる一方、費用面では研究開発費が前期比で減少するため、損失額は縮小する見通しだ重症虚血肢向けHGF遺伝子治療薬に関しては、国内で2017年半ばに「条件及び期限付承認制度」による承認申請を目指し、米国では新たな試験計画の策定を行っているまた、2017年半ばには椎間板性腰痛症治療薬として開発を進めるNF-κB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)デコイオリゴの第1/2相臨床試験を米国で、高血圧DNAワクチンの第1相臨床試験をオーストラリアでそれぞれ開始する計画となっている
3. 開発プロジェクトの選択と早期段階ライセンスアウト
同社は開発最終段階にあるものを中心にプロジェクトの選択を行うとともに、開発早期段階のプロジェクトについてはPOC※を取得できた段階でのライセンスアウトを行うことで研究開発費の削減や一時金等の収入を得ることを検討していく今期は引き続き開発資金を株式市場から調達する可能性が高いが、上記施策が着実に実施されれば今後は徐々に財務状況の改善に向かうものと予想される
※POC(Proof of Concept):基礎的な研究で予想された薬の効果が、実際に動物またはヒトへの投与試験により証明されること
■Key Points
・大阪大学発のバイオベンチャーで、遺伝子医薬に特化した開発を進める
・2017年12月期は海外で3つのプロジェクトの臨床試験開始を予定
・開発プロジェクトの選択と早期段階ライセンスアウト
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
アンジェスMG (T:4524)は、1999年に設立された大阪大学発の創薬ベンチャー遺伝子医薬に特化した開発を進めている新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況等によって得られるマイルストーン収益、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルとなる
1. 2016年12月期は研究開発費負担増で損失が拡大
2016年12月期の事業収益は前期比19.6%増の514百万円、営業損失は4,763百万円(前期は4,171百万円の損失)となった2016年12月に、同社が保有する子宮頸部前がん治療ワクチン(以下、CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権を、森下仁丹に再許諾する契約を締結し、契約一時金を計上したことが増収要因となった一方で、国内外での臨床試験費用及び非臨床試験費用の増加に伴い、研究開発費が前期比655百万円増加したことが損失拡大要因となった
2. 2017年12月期は2つの臨床試験を海外でスタート
2017年12月期の連結業績は、事業収益で360百万円、営業損失で3,400百万円を見込んでいる事業収益については商品売上高のみを計画に織り込んでいる一方、費用面では研究開発費が前期比で減少するため、損失額は縮小する見通しだ重症虚血肢向けHGF遺伝子治療薬に関しては、国内で2017年半ばに「条件及び期限付承認制度」による承認申請を目指し、米国では新たな試験計画の策定を行っているまた、2017年半ばには椎間板性腰痛症治療薬として開発を進めるNF-κB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)デコイオリゴの第1/2相臨床試験を米国で、高血圧DNAワクチンの第1相臨床試験をオーストラリアでそれぞれ開始する計画となっている
3. 開発プロジェクトの選択と早期段階ライセンスアウト
同社は開発最終段階にあるものを中心にプロジェクトの選択を行うとともに、開発早期段階のプロジェクトについてはPOC※を取得できた段階でのライセンスアウトを行うことで研究開発費の削減や一時金等の収入を得ることを検討していく今期は引き続き開発資金を株式市場から調達する可能性が高いが、上記施策が着実に実施されれば今後は徐々に財務状況の改善に向かうものと予想される
※POC(Proof of Concept):基礎的な研究で予想された薬の効果が、実際に動物またはヒトへの投与試験により証明されること
■Key Points
・大阪大学発のバイオベンチャーで、遺伝子医薬に特化した開発を進める
・2017年12月期は海外で3つのプロジェクトの臨床試験開始を予定
・開発プロジェクトの選択と早期段階ライセンスアウト
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)