[キエフ 1日 ロイター] - 英国のジョンソン首相は1日、訪問先のキエフで、ロシアのプーチン大統領は欧州における冷戦後の安全保障体制を塗り替えるために、ウクライナに銃を突きつけているとの考えを示した。
ジョンソン氏は、プーチン大統領は勢力圏を切り開くことで冷戦後に構築された秩序を覆そうとしているとし、それにより欧州は再び分断され、1989年のベルリンの壁崩壊以降に得られた自由が失われると指摘。「ウクライナに銃を突きつけ、脅すことで、(冷戦後の秩序に対する)われわれの見解を変えようとしている」と述べた。
米英は前日、ロシアがウクライナに侵攻した場合、プーチン大統領に近い人物に資産凍結や入国制限などの制裁を科す用意があると警告。ジョンソン氏は、米英がロシアの脅威を過大評価している可能性があるとの見解を一蹴した上で、ロシアがウクライナに侵攻すれば、ロシアの戦略的な商業上の利害や個人に対する制裁措置を直ちに発動させると述べた。
ウクライナのゼレンスキー大統領はジョンソン首相との共同記者会見で、ロシアと軍事衝突はウクライナとの戦争だけでなく、欧州における全面的な戦争に発展する恐れがあると警告。ロシアとの対立で次に何が起きるか、誰にも予見できないと語った。
その上で、東部の紛争終結に向けウクライナ政府は「ミンスク合意」に責任あるアプローチをとっていると表明。ただ、同合意の履行を巡りロシアとの間に見解の不一致があるとの見方を示した。