[パリ 21日 ロイター] - 世界の高級ブランド品売上高は今年少なくとも5%増加し、ウクライナの戦争や物価高騰にもかかわらず米国や欧州で購入の動きが続く――。コンサルティング会社ベインは21日、こうした見通しを示した。
ベインのパートナー、クラウディア・ダルピツィオ氏はロイターのインタビューで「(ブランド品)消費は今のところ(さまざまな悪材料の)影響を受けていないように思われる」と語った。
今年の高級ブランド品売上高についてベインの最も保守的な見積もりは3050億ユーロ(3200億ドル)、新型コロナウイルス対策の規制解除後の急速な販売回復に基づいたより楽観的な想定では最大3300億ユーロ。従来は3100億ユーロとしていたが、ダルピツィオ氏によると、足元の堅調な販売を考慮に入れて予想に幅を持たせたという。
マイナス要素の1つに挙げられるのは、ロシアの富裕層の需要減少だ。ロシアのウクライナ侵攻前まで、ロシア人の高級ブランド品購入総額はおよそ70億ユーロと世界全体の2─3%を占めていた。しかし欧州の大半の地域でロシア人旅行者の入国が禁止されたほか、ロシアの銀行が国際決済システムから排除されたことが、需要減につながった。
ベインによると、昨年の世界全体の売上高は2880億ユーロで、年末商戦時期の消費が強かったため、以前予想していた2830億ユーロを上回ったという。
物価高騰や中国におけるロックダウン(都市封鎖)という逆風が吹いたものの、各ブランド企業は効果的な販売戦略を駆使し、欧州と米国の需要をうまく取り込んだ。ダルピツィオ氏は、インフレにもかかわらず消費者信頼感が底堅いことに「間違いなく驚嘆している」と述べた。