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アングル:ロシア、インフラ破壊でウクライナを「水不足」攻撃

発行済 2022-10-28 16:53
更新済 2022-10-28 16:54
© Reuters.  10月22日、    ウクライナが南部で確保し続けている主要都市ミコライウは造船産業の拠点で人口は50万人に上るが、半年前から新鮮な水道水を市民に供給できなくなった。写真は

[ミコライウ(ウクライナ) 22日 ロイター] - ウクライナが南部で確保し続けている主要都市ミコライウは造船産業の拠点で人口は50万人に上るが、半年前から新鮮な水道水を市民に供給できなくなった。ウクライナ側の説明によると、ロシア軍がヘルソン州近くにある同市の取水施設を制圧し、閉鎖したことが原因だ。

路面電車の修理車両に積まれて市の中心部に運ばれてきた給水タンクから水をもらおうと待ち構えていた市民の1人、スベタさんは「彼ら(ロシア軍)がわれわれを大量虐殺しようとしている」と憤りの声を上げる。

スベタさんを含め、市の人口の半数強に当たる22万人は、しばしばロシア軍の砲撃を受けるこの都市に今も残っている。人々にとって水道の遮断は、プーチン大統領が開始したウクライナへの戦争が、前線だけでなく民間インフラにまで及んでいることを確認させられる苦い現実だ。

ロシアは過去数週間で、ミサイルやドローン(無人機)を駆使したウクライナのエネルギー施設などへの攻撃を強化。ウクライナの大部分で電力供給がままならなくなり、攻撃に伴う死者も発生したほか、浄水が確保できない場所が出てきた。

ただ、ミコライウの水問題は他の地域よりもずっと前から続いている。同市の水道管理責任者ボリス・ディデンコ氏はロイターに、ロシア軍はウクライナが2014年、クリミア半島への給水を止めた仕返しとしてミコライウの取水施設を閉鎖したとの見方を示した。

<禁じ手>

ミコライウの市民は毎日のように、ポリタンクを手に抱えたり、カートに乗せて市内各地の給水所に向かう。スベタさんの後ろに並んでいたヤロスラフさんは「これがわれわれの今の生活だ。何の楽しみもないまま1日が過ぎ、次の日を迎える」と嘆いた。78歳のヤロスラフさんはかつて市内の造船所で働いていた。

世界中の水資源を巡る紛争の影響を文書にまとめている米カリフォルニア州のシンクタンク、パシフィック・インスティテュートのピーター・グライク上席研究員は、ロシアが2月のウクライナ侵攻以降、水を武器として利用してきたと説明する。

グライク氏は電子メールによるやり取りの中で、「ウクライナの水に関するインフラはダムから浄水所、下水処理施設までロシアが幅広く標的にしている」と記した。同氏によると、国際法で民間インフラへの攻撃は戦争犯罪と規定される。

グライク氏らの研究チームが分析したこところでは、戦争が始まって最初の3カ月だけで、ウクライナの給水施設が破壊されたり、水道用と水力発電用のダムが攻撃されたりした事例は60件余りに上る。

ロシアはこれまでに複数の発電所を攻撃対象としたことを認めつつ、民間人の犠牲を避ける万全の努力をしていると主張している。しかし国連によると、確認されただけで民間人死者が1万4000人を超え、実際はこれよりずっと多い公算が大きいという。

一方、パシフィック・インスティテュートのデータベースに基づくと、ウクライナ側も水を時折武器にしてきており、ロシアが14年にクリミアを自国領土に組み入れると給水を止めたのはその一例だ。

グライク氏は、ウクライナ政府に給水を維持する法的義務はないものの、人道的な見地でそうするのが妥当だったと言えるのではないかとみている。

またウクライナ軍は2月、ロシアのキーウ攻撃を遅滞化させる目的でドニエプル川のダムから放水を行うという局面もあった。

それでもミコライウのディデンコ氏はロイターに「他の地域の問題はその地域だけで解決できる性質のものだ。われわれだけがこれほど大規模な災厄に見舞われている」と訴えた。

水がなくなって1カ月が経過した後、背に腹は代えられなくなった市当局は、下水管を清掃し、トイレの使用や洗い物を市民ができるようにするために、南ブーフ川河口から塩分を含む水を取り込むという「禁じ手」に踏み切った。この水は強い刺激臭があり、せっけんが泡立ちにくく、すすぐのも難しくなる。最悪なのは、市内の水道管で腐食による破損が起きていることだ。

<対症療法>

ディデンコ氏の話では、最終的に市内の水道システムを全面的に交換するしかないが、その膨大な費用をミコライウの財政で賄うことはできない。市内の工場は稼働しておらず、人口減少で税収も減っているからだ。

同氏は、取水施設の点検や補修をするために必要な停戦にロシアが応じないと非難し、「まさに破局的だ」と語った。

実際、市内のあちこちの道路では破損した本管から水が漏れ出している様子が見受けられる。ある修理現場にいた責任者は「この3日で5件目の水漏れだ」と話す。

ディデンコ氏は、塩水自体はどうすることもできない以上、できるだけ職員に水道管を修復させ続ける以外選択肢はないと説明。「われわれの仕事は現状を維持し、冬を乗り切ること。それは簡単ではなく、これからもっと問題が出てくるだろう」と警戒している。

(Jonathan Landay記者)

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