[サンフランシスコ 28日 ロイター] - 米民主党のナンシー・ペロシ下院議長のサンフランシスコにある自宅に28日未明に金づちを持った男が侵入し、夫のポール・ペロシ氏(82)が暴行を受けた。事件当時ペロシ議長はワシントンにおり不在だった。警察は容疑者を逮捕し、動機を調べている。
AP通信は関係筋の話として、ポール氏が頭や体を激しく殴られ、打撲や腫れなどの傷を負ったと報じた。
ペロシ議長の事務所は、ポール氏が暴行を受けた際に負った頭蓋骨骨折および右腕と両手の重傷を治療する手術を受け、成功したと発表した。ポール氏の医師は完全な回復を見込んでいるという。
サンフランシスコ警察のウィリアム・スコット署長によると、警察は現場でデビッド・デパペ容疑者(42)を逮捕。殺人未遂などの容疑で起訴されるとの見方を示した。
当局は動機はまだ調査中としているが、CNNは関係筋の話として、容疑者は襲撃前に「ナンシーはどこだ」と叫び、警察が現場に到着した際は「ナンシーを待っている」と話したと報じている。
スコット警察署長によると、通報を受け警察が現地時間午前2時27分に現場に急行した際、デパペ容疑者とポール氏が金づちを巡ってもみ合っていた。
現時点でも容疑者の侵入経路などは不明。連邦議会の警護を担当する議事堂警察によると、米連邦捜査局(FBI)がサンフランシスコ警察と協力して捜査に当たっている。
ホワイトハウスのジャンピエール報道官によると、バイデン大統領は28日朝、ペロシ氏と電話で話し、支援を表明した。
ペロシ議長は大統領権限を継承する順位が副大統領に次ぐ2位の要職。事件は11月8日投開票の米連邦議会中間選挙が2週間以内に迫る中で発生した。
ニューヨーク市警は27日、中間選挙を前に過激派が政治家、政治イベント、投票所などを標的にする恐れがあると警告していた。
ポール氏はサンフランシスコを拠点とする不動産会社などを経営。現場となった自宅は、ゴールデンゲートブリッジとサンフランシスコ湾を一望する高級住宅街のパシフィックハイツにある。