[ウェリントン 14日 ロイター] - ニュージーランド政府は14日、サイクロン「ガブリエル」による影響を踏まえ、国家非常事態を宣言した。オークランドのある北島の広範囲で洪水や土砂崩れ、高波などが発生している。ニュージーランドで国家非常事態が宣言されるのは史上3回目。
ヒプキンス首相は非常事態の宣言後、記者団に「ニュージーランド全土、特に北島の国民にとり大変な夜となっている。多くの家族が避難を余儀なくされ、多数の家が停電し、国中に甚大な被害が出ている」と述べた。
また、避難者や負傷者の数はまだ不明だが、死者は確認されていないと説明した。
議会は14日午後に短時間開催されるが、その後は21日まで休会となる。
マカナルティ防災相は声明で「北島の大部分に大きな影響を及ぼしている前例のない気象現象だ」とし、被害が広範囲に及んでいることから、影響を受けた人々を支援するために国家非常事態宣言が必要だと述べた。
ニュージーランドで国家非常事態が宣言されたのは、2011年のクライストチャーチ地震の後と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期の2回のみ。
ガブリエルは現在、オークランドの東100キロに位置している。気象機関によると、今後はガブリエルの南下に伴い、南島で影響が出始める見通し。
ガブリエルは北島全域に豪雨や洪水、強風をもたらし、多くの海岸集落が避難を余儀なくされた。各地に避難所が設置されているが、多くの人が停電に見舞われているほか、道路が閉鎖され、一部の町は孤立している。
地元メディアの写真では、浸水した建物の上に座っている人や土砂崩れに遭った家屋、浸水した道路などが確認できる。
消防当局は、オークランド近郊の海岸沿いの町で土砂崩れに遭った家屋の中にボランティア消防士が取り残されていると明らかにした。もう1人の消防士は救助され病院に運ばれたが、重体という。