[25日 ロイター] - 世界反ドーピング機関(WADA)は25日、2021年の東京五輪前に中国の競泳選手23人がドーピング検査で陽性反応が出たものの出場が許可されたことを巡り、同機関から独立した検察官による調査を行うと発表した。
この問題は、東京五輪開幕の数カ月前に中国の競泳選手らが心臓の薬に含まれるトリメタジジンの陽性反応を示したと複数メディアが報道。WADAは声明で、中国の反ドーピング機関(CHINADA)から、選手らが気付かずに薬物に汚染された状態で検体を提出したため陽性反応を示したと、21年6月に通知されたと明らかにした。
その上で「最終的に、汚染がトリメタジジンの起源である可能性を否定する立場にはないと結論付けた」とし、「選手に過失や怠慢は認められない」と説明。また外部専門家の助言に基づき、中国の決定についてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴することは正当ではないと判断したという。
この対応について米国反ドーピング機関(USADA)は不満を表し、陽性反応を隠蔽した関係者らが「規則と法律の最大限の範囲で責任を負う」ことを望むとコメントしていた。
調査は独立検察官のエリック・コティエ氏が指揮を執り、2カ月以内に調査結果を発表する予定。WADAのウィトルド・バンカ会長は声明で、「WADAの誠実さと信用が脅かされている。CHINADA問題をCASに提訴しなかったことで、中国に有利なバイアスがかかっていると不当に非難されている。誤った告発を否定し続けるし、経験豊富で信頼のおける独立した検察官の手にこの問題を委ねることをうれしく思う」と述べた。