[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が2日発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は26万3000人増で予想を上回った。景気後退を巡る懸念が高まっているものの、賃金も上昇した。しかし、米連邦準備理事会(FRB)が今月から利上げペースを減速する軌道に変化はないとみられる。
失業率は3.7%で横ばい。約18万6000人が労働市場から退出したことを反映した。
ロイターがまとめた非農業部門雇用者数のエコノミスト予想は20万人増加だった。
10月分の雇用者数は26万1000人増から28万4000人増に上方改定された。今年の雇用者数の伸びは月平均39万2000人。昨年は56万2000人だった。
11月の時間当たり平均賃金は前月比0.6%上昇、前年比5.1%上昇した。10月は前月比0.5%上昇、前年比4.9%上昇だった。賃金の伸びは3月に前年比5.6%上昇し、ピークを付けたもよう。
TDセキュリティーズのチーフ米国マクロストラテジスト、ジャン・グローエン氏は「11月の雇用統計はFRBのインフレとの戦いにとって明らかに悪いニュースだ」とし、「FRBは12月と来年2月に0.50%ポイントの追加利上げを実施し、短期的に引き締めスタンスを維持する以外に選択肢はない」と述べた。
パウエルFRB議長は今週、「早ければ12月にも」利上げペースを減速させる可能性があると述べていた。米連邦公開市場委員会(FOMC)は13─14日に開催される。
ツイッターやアマゾン、メタなどのハイテク大手が最近、人員削減計画を発表しているものの、雇用は好調を維持している。
業種別では、レジャー・接客が8万8000人増で、全体の伸びを主導。増加分の大半がレストランとバーでの雇用だった。ただ、レジャー・接客業の雇用はなお、コロナ禍前の水準を98万人下回っている。
ヘルスケアは4万5000人増、政府は4万2000人増。
住宅市場の減速にもかかわらず、建設は2万人増。製造も1万4000人増加した。
一方、小売は3万人減、運輸・倉庫は1万5000人減だった。
将来の雇用の指標とされる派遣などの臨時雇用は1万7200人減少した。
インディード・ハイヤリング・ラボの経済リサーチ主任、ニック・バンカー氏は「労働市場の状況は来年、多少まだら模様となる可能性はあるが、2023年に向け順調に推移している」と述べた。
また、賃金上昇を受け、賃金・物価スパイラルを巡る懸念をあおる可能性があるものの、シティグループの米国チーフエコノミストのアンドリュー・ホレンホースト氏は、「幅広い賃金の上昇と他のデータとの整合性から、時間当たり平均賃金の5%前後の伸びは異常ではないと思われる」と述べた。
家計調査によると、11月の労働参加率は62.1%と、前月の62.2%から低下。人口に占める雇用者の比率も前月の60%から59.9%に低下した。