[横浜市 2日 ロイター] - 日銀の高田創審議委員は2日、神奈川県金融経済懇談会であいさつし、現在は大規模緩和の市場機能への影響を踏まえつつも、粘り強く金融緩和を続ける局面だとの認識を示した。債券市場の安定性確保のため、モニタリングを通じて市場の状況をきめ細かく把握していく考え。
高田委員が金融経済懇談会に出席するのは、昨年7月の就任以降で初めて。
昨年12月の長期金利の変動幅拡大について、高田委員は昨年の春先以降、海外市場のボラティリティーが高まる中で、日本の債券市場では各年限間の相対関係や現物と先物の裁定などの面で市場機能が低下していたことが理由だと説明した。
その一方で、予想インフレ率の上昇で実質金利の低下が続いており「金融緩和の度合いは強まっている」と話した。
高田委員は、金融緩和を続ける理由として、日銀の展望リポートでは見通し期間中に2%の物価目標を安定的に実現する姿になっていないことや、先行きの海外経済の減速を挙げた。米欧の利上げで「海外経済が大幅に減速し、日本経済への下押し圧力が強まるリスクがある」と警戒感を示した。その上で、時間をかけて粘り強く金融緩和を続け、需給ギャップに働きかけていく必要があるとした。
高田委員は、現在は経済と物価の持続的な好循環が実現できるかを見極める段階にあると述べた。