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現在、2016年秋の稼働を目指して佐伯発電所の工事が進んでいるところだ。
新中期経営計画の業績計画は、土佐と佐伯の両発電所が担うことになる。
その後の売上高1,000億円の目標に向けて新中期経営計画期間中に着手し、2020年3月期以降の完成を目指すべく検討されているのが、福岡県豊前市でバイオマス発電事業を行う豊前案件だ。
これは九州電力グループとの間でジョイントベンチャー(JV)を設立し、そこが事業主体となる。
建設資金はプロジェクトファイナンスで賄う点がこれまでと異なる新たなスキームだ。
発電燃料は既存の2プラント同様にPKS(パーム椰子殻)を主体とする計画だ。
豊前案件は昨年来検討が続いているが、金融機関との間での協議も進んでおり、近いうちに最終合意がなされる見通しだ。
豊前案件の後には東北案件など3件の発電プロジェクトを同社は計画している。
なかでも優先度が高いのが東北案件だ。
詳細は明らかにされていないが東北地方において豊前案件と同規模のバイオマス発電設備を建設するプロジェクトだ。
豊前案件を先例として活用できるため、パートナー企業との間で出資比率や電力販売スキームなどの合意がスムーズに進む可能性もある。
実質的に豊前プロジェクトと同時並行的に進行する可能性も高いと弊社ではみている。
(4)販売戦略について 同社は2001年にPPSとしての登録を行って以来、電力小売を行ってきた。
電力小売自由化は段階的に進められ、これまでは大工場向けの特別高圧分野と大口需要家(工場、スーパー、オフィス)向けの高圧分野が自由化され、同社は高圧分野の顧客向けに電力小売を行ってきた。
2016年3月時点で高圧分野の顧客数は8,000超にまで積み上がっている。
2016年4月から最後に残っていた一般家庭や小規模商店など向けの低圧分野が自由化され、同社は成長シナリオには不可欠の重要な市場と位置付けて、積極的に取り組む方針だ。
電力小売についての同社の事業戦略は次のようになっている。
低圧分野ではアライアンスパートナーとの連携によるシェア拡大が中心的施策となっている。
これは既に顧客基盤を有する事業者とアライアンスを組み、彼らの既存客に対して電力を重ね売りすることで顧客数を拡大するというものだ。
同社は、子会社のイーレックス・スパーク・エリアマーケティング(株)を通じてLPガス販売会社39社(2016年5月現在)と提携している。
これら39社が有する顧客数は約150万戸に達している。
同社はこれ以外にもケーブルテレビ会社や不動産会社、通信事業者とも提携(一部は協議中)しており、それらの顧客数の合計は300万戸に達する見通しだ。
高圧分野については、従来どおり、代理店制度による顧客開拓を進める方針だ。
現在、代理店数は1,200に達しているが、一部の有力代理店が電力販売契約のほとんどを占める構図となっている。
同社は委託形態の多様化などの施策を通じて実働代理店を拡大して底上げを図る方針だ。
また、電力小売の対象地域も、北海道・北陸・四国といった未進出エリアへの事業拡大も計画している。
中期的には、付加価値創出による他社との差別化を強化する方針だ。
具体的には、ブランドイメージ確立と認知度向上、カスタマーサポート充実による満足度向上、新サービスや独創的な料金表の提供などが掲げられている。
同社はこうした一連の施策を通じて顧客ベースを拡大し、高圧分野と低圧分野で、バランスの取れた業容拡大を図っていく方針だ。
低圧分野が自由化されて初年度に当たる2017年3月期は、小売電力販売量を約1,500GWhと計画しているが、そのうち14%を低圧分野が占める計画となっている。
低圧分野の構成比は年々上昇し、中期経営計画最終年度の2019年3月期には36%にまで高まるとみている。
また、売上高1,000億円の達成時点では、高圧と低圧の比率が半々になると想定している。
こうした低圧分野の顧客数について同社は、2017年3月末で5万件、2018年3月末で12万件、2019年3月末で15万件と想定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)