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現実の電力需要は、1日のうちの時間帯や1年のうちの季節によって大きく変動するため、需給調節が必要となる。
イーレックス (T:9517)のように発電設備を有する場合、発電部門はフル稼働をキープする一方、需要を見ながらIPP(発電事業者)から相対取引で電力を仕入れ、小売(高圧・低圧両分野)向けに販売を行う。
時間帯による電力不足や余剰電力の販売はJEPXを通じて行うことになる。
こうした需給調整取引を作業として埋没させるのではなく、事業として収益化しようというのがトレーディング事業設置の狙いだ。
同社は2016年秋に「エネルギー取引部」を設置してトレーディング事業を本格的に開始する予定だ。
弊社ではトレーディング事業の試みは新しいチャレンジであり注目に値すると考えている。
注意を要するのは、ここで行われる取引の多くは内部取引で消去され、純粋な外部取引はJEPXとの取引やIPPからの仕入れ、及びバイオマス燃料の仕入れということになるため、収益貢献は、特に初期は限定的なものになるだろうという点だ。
また、トレードである以上、損失を出す可能性がある点にも注意を払う必要があろう。
2016年秋以降の事業開始を待って、注意深く見守りたいと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)