■要約
クリエイト・レストランツ・ホールディングス (T:3387)は、ショッピングセンター内のレストラン及びフードコートの運営を主力とするとともに、M&Aにより獲得した居酒屋業態や飲食店業態も展開している。
集客力の高い立地へのこだわりとそれぞれの立地環境(地域特性や顧客属性、競合状況等)に見合った業態の組み合わせによるマルチブランド・マルチロケーション戦略に特徴があり、それが同社の主力事業を支えてきた。
現在の店舗数は約200業態で857店舗となっている(2017年2月期末現在)。
また、最近では、駅前好立地での24時間営業により人気業態となっている海鮮居酒屋業態「磯丸水産」※1など、積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」※2により高い成長性を実現しており、同社は新たな成長フェーズに入っている。
※1 2013年4月に買収したSFPダイニング (T:3198)が展開している。
※2 同社が推進しているグループ経営のことで、ホールディングスの「求心力」と各グループ事業会社の「遠心力」のバランスを取りながら成長を促進するものである。
2017年2月期の業績は、売上高が前期比9.9%増の113,525百万円、経常利益が同13.5%減の6,348百万円と増収ながら減益となり、会社予想を下回る着地であった。
前期に買収した(株)KRフードサービスの連結貢献に加えて、前期出店分の通年寄与や今期出店分(116店舗)が増収に寄与した。
ただ、会社予想を下回ったのは、既存店売上高が前年比95.3%(予想では97.8%)と想定を下回ったことが要因である。
郊外及び地方レストランを中心に消費低迷や天候不順等の影響を受けた。
また、「磯丸水産」がディナー利用時間帯の変化による客単価の減少や「かごの屋」(専門ブランドカテゴリー)の会員ポイント制度切り替えの周知不足による一時的な顧客離れも影響した。
同社は、現状における課題を整理するとともに、2019年2月期以降の成長加速に向けて具体的な対策に取り組んでいる。
CRカテゴリーでは、これまでの「総合ビュッフェ」から専門性に特化したビュッフェ業態(ステーキ&ビュッフェ)への業態変更を進める。
また、SFPカテゴリーについては、新規出店を戦略的に抑制し、都心一等立地中心の出店を行うとともに、店舗改装やタッチパネルの導入、宴会メニューの充実などにより既存店の強化に取り組む。
「磯丸水産」及び「鳥良商店」に続く新業態の開発にも注力しており、足元では「トラ五郎」(餃子居酒屋)が順調に滑り出している。
専門ブランドカテゴリーについても、投資効率の良い新業態を開始した。
2018年2月期の業績予想について同社は、売上高を前期比3.9%増の118,000百万円、経常利益を同7.1%増の6,800百万円と増収増益を見込んでいる。
業績の伸びが緩やかなのは、新規出店数を意図的に抑え、既存店の強化や新業態の開発に取り組むことで、再び成長路線に乗せるための基盤固めに注力することが理由である。
同社は、2017年2月期の実績が当初計画より下振れたことや、2018年2月期の業績の伸びが一旦緩やかになることなどを踏まえ、新たに3ヶ年の中期経営計画を公表した。
ただ、基本的な成長シナリオや2019年2月期以降の業績の伸びに変化はない。
積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」のもと、1)オーガニックな出店、2)国内M&A、3)更なる海外展開により、成長を加速する計画となっている。
最終年度である2020年2月期の目標(M&Aを含まない)として、売上高を150,000百万円(3年間の平均成長率は9.8%)、経常利益を10,000百万円(同16.6%)と掲げている。
弊社では、成長の軸を担う居酒屋業態の出店余地が十分にあることや、M&Aの環境が同社にとって追い風であること、海外事業もノウハウの蓄積や和食人気の後押しが期待できることなどから中期経営計画の達成は可能と見ている。
今後の注目点としては、既存店強化の成果、新業態による業績寄与、海外展開のスピード、M&Aの実現に向けた動き、グループシナジーの創出などがあげられる。
■Key Points
・2017年2月期は消費低迷等の影響により増収ながら減益、会社予想を下回る着地
・既存店の強化や新業態の開発により、2019年2月期以降の成長加速に向けた基盤固めに注力
・2018年2月期の業績は一旦踊り場となる見通しであるが、2019年2月期からの再成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
クリエイト・レストランツ・ホールディングス (T:3387)は、ショッピングセンター内のレストラン及びフードコートの運営を主力とするとともに、M&Aにより獲得した居酒屋業態や飲食店業態も展開している。
集客力の高い立地へのこだわりとそれぞれの立地環境(地域特性や顧客属性、競合状況等)に見合った業態の組み合わせによるマルチブランド・マルチロケーション戦略に特徴があり、それが同社の主力事業を支えてきた。
現在の店舗数は約200業態で857店舗となっている(2017年2月期末現在)。
また、最近では、駅前好立地での24時間営業により人気業態となっている海鮮居酒屋業態「磯丸水産」※1など、積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」※2により高い成長性を実現しており、同社は新たな成長フェーズに入っている。
※1 2013年4月に買収したSFPダイニング (T:3198)が展開している。
※2 同社が推進しているグループ経営のことで、ホールディングスの「求心力」と各グループ事業会社の「遠心力」のバランスを取りながら成長を促進するものである。
2017年2月期の業績は、売上高が前期比9.9%増の113,525百万円、経常利益が同13.5%減の6,348百万円と増収ながら減益となり、会社予想を下回る着地であった。
前期に買収した(株)KRフードサービスの連結貢献に加えて、前期出店分の通年寄与や今期出店分(116店舗)が増収に寄与した。
ただ、会社予想を下回ったのは、既存店売上高が前年比95.3%(予想では97.8%)と想定を下回ったことが要因である。
郊外及び地方レストランを中心に消費低迷や天候不順等の影響を受けた。
また、「磯丸水産」がディナー利用時間帯の変化による客単価の減少や「かごの屋」(専門ブランドカテゴリー)の会員ポイント制度切り替えの周知不足による一時的な顧客離れも影響した。
同社は、現状における課題を整理するとともに、2019年2月期以降の成長加速に向けて具体的な対策に取り組んでいる。
CRカテゴリーでは、これまでの「総合ビュッフェ」から専門性に特化したビュッフェ業態(ステーキ&ビュッフェ)への業態変更を進める。
また、SFPカテゴリーについては、新規出店を戦略的に抑制し、都心一等立地中心の出店を行うとともに、店舗改装やタッチパネルの導入、宴会メニューの充実などにより既存店の強化に取り組む。
「磯丸水産」及び「鳥良商店」に続く新業態の開発にも注力しており、足元では「トラ五郎」(餃子居酒屋)が順調に滑り出している。
専門ブランドカテゴリーについても、投資効率の良い新業態を開始した。
2018年2月期の業績予想について同社は、売上高を前期比3.9%増の118,000百万円、経常利益を同7.1%増の6,800百万円と増収増益を見込んでいる。
業績の伸びが緩やかなのは、新規出店数を意図的に抑え、既存店の強化や新業態の開発に取り組むことで、再び成長路線に乗せるための基盤固めに注力することが理由である。
同社は、2017年2月期の実績が当初計画より下振れたことや、2018年2月期の業績の伸びが一旦緩やかになることなどを踏まえ、新たに3ヶ年の中期経営計画を公表した。
ただ、基本的な成長シナリオや2019年2月期以降の業績の伸びに変化はない。
積極的なM&Aを通じて成長性のある業態を同社の成長に取り込む「グループ連邦経営」のもと、1)オーガニックな出店、2)国内M&A、3)更なる海外展開により、成長を加速する計画となっている。
最終年度である2020年2月期の目標(M&Aを含まない)として、売上高を150,000百万円(3年間の平均成長率は9.8%)、経常利益を10,000百万円(同16.6%)と掲げている。
弊社では、成長の軸を担う居酒屋業態の出店余地が十分にあることや、M&Aの環境が同社にとって追い風であること、海外事業もノウハウの蓄積や和食人気の後押しが期待できることなどから中期経営計画の達成は可能と見ている。
今後の注目点としては、既存店強化の成果、新業態による業績寄与、海外展開のスピード、M&Aの実現に向けた動き、グループシナジーの創出などがあげられる。
■Key Points
・2017年2月期は消費低迷等の影響により増収ながら減益、会社予想を下回る着地
・既存店の強化や新業態の開発により、2019年2月期以降の成長加速に向けた基盤固めに注力
・2018年2月期の業績は一旦踊り場となる見通しであるが、2019年2月期からの再成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)