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3. 財務状況と経営指標
2017年3月期末の総資産は前期末比2,114百万円増加の29,451百万円となった。
主な増減要因を見ると、流動資産では売上規模の拡大に伴って受取手形及び売掛金が853百万円増加したほか、その他流動資産が192百万円増加した。
また、固定資産ではベトナム新工場やリバースエンジニアリング事業の立ち上げに伴い有形固定資産が972百万円増加した一方で、のれんが120百万円減少した。
新工場や新規事業の立ち上げを主因として、設備投資額は前期比1,617百万円増の2,909百万円と、ここ数年では大型の投資を実施したことになる。
一方、負債は前期末比1,937百万円増加の15,275百万円となった。
設備投資資金として有利子負債が1,427百万円増加したほか、支払手形及び買掛金が427百万円増加した。
また、純資産は同176百万円増加の14,176百万円となった。
親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が1,094百万円増加したものの、円高の影響で為替換算調整勘定が869百万円減少した。
経営指標を見ると、有利子負債の増加や円高の影響による純資産の伸び悩みにより、自己資本比率が前期末比で3.1ポイント低下の48.1%となったほか、有利子負債比率が同9.8ポイント上昇の48.0%となり、また、ネットキャッシュ(現金及び預金‐有利子負債)もマイナス額が同1,417百万円拡大するなど、財務体質はやや悪化した。
ただ、要因は将来の成長に向けた先行投資や為替の影響によるものであり、水準的にも問題のないレベルと判断される。
2018年3月期の設備投資計画は2,300百万円を予定している。
中国、ベトナムでの投資が中心となるが、中国では主力工場である大連工場の生産能力が限界に近づいてきたことから、工場の増設工事(投資額約400百万円)を予定している。
高付加価値の戦略製品の生産ラインを新設し、特注品生産の強化と生産能力拡大を図るほか、研究開発スペースの拡張、将来の更なる設備増強に向けたスペースの確保を目的としている。
今回の工場増設によって、中国における金型用部品メーカーとしてのトップポジションの維持並びに更なる成長を推進していく方針だ。
減価償却費は1,523百万円と前期末比127百万円の増加を見込んでおり、営業キャッシュフローで賄える範囲の投資額となる。
今後は収益拡大と同時に有利子負債の削減を進めていく方針となっており、財務体質も改善が進むものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)