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パンチ Research Memo(8):2021年3月期に売上高470億円以上、営業利益33億円以上を目指す

発行済 2017-07-04 15:48
更新済 2017-07-04 16:00
パンチ Research Memo(8):2021年3月期に売上高470億円以上、営業利益33億円以上を目指す
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■中期経営計画

パンチ工業 (T:6165)は2016年3月に新・中期経営計画「バリュークリエーション2020」を発表している。
前中期経営計画(2013年−2015年度)で取り組んできた「グローバル化」「新市場の開拓」「高収益事業モデルへの転換」をさらに深化させ、グローバル企業として金型部品業界でのトップブランドを確立し、製販一体企業としての優位性を生かして更なる収益成長を目指していく。


初年度となる2017年3月期は円高の影響で売上高、利益ともに当初の計画(売上高37,000百万円、営業利益2,000百万円)からは若干の未達となったものの、為替影響を除けば計画を上回って推移しており、順調な滑り出しになったと言える。
また、ベトナム工場の立ち上げや米国販売拠点の開設など事業戦略も当初の計画どおりに進んでおり、2018年3月期以降についても中期経営計画に沿って業績は順調に拡大していくものと期待される。


1. 基本戦略
中期経営計画の基本戦略として、「販売5極体制」「お客様サービスの向上」「高収益事業の推進とR&D強化」「働き方改革」の4つのテーマを掲げている。


(1) 販売5極体制
同社の売上高は日本と中国で約90%を占めており、その他アジアや欧米市場に関しては約10%と低水準となっている。
とりわけ、世界の金型用部品市場の約3割を占める欧米市場の売上構成比は5%以下にとどまっており、グローバル企業として成長していくためには、同市場を開拓していくことが経営課題となっていた。


同社では欧米市場開拓の第1弾として、米国イリノイ州に販売子会社を設立し、2017年4月より6名体制で営業活動を開始している。
当面の顧客ターゲットとしては競争の激しい自動車業界ではなく、医療機器や電子部品業界を中心に、特注品の受注獲得に注力していく方針となっている。
医療機器分野では注射針やカテーテル製造用をターゲットとしている。
これらの金型用部品については、同社が得意とする高精度な技術が要求されること、またディスポーザブル(使い捨て)機器であるため生産数量が大きく、金型用部品の需要も安定して見込めることが要因となっている。
同様に電子部品では高精度・ファインピッチな仕様が求められるコネクタを主なターゲットとしていく。
既に、代理店経由で取引実績のある顧客を中心に営業活動を進めていく方針で、直販体制を構築しながら取引規模を拡大していく考えだ。
現状、米国向け売上高としては前期実績の3億円程度を2021年3月期には12億円程度と4倍規模にすることを目標としている。


また、欧州市場については前期売上高で10億円程度まで拡大しており、今後は米国と同様、販売代理店との関係強化や現地に販社を設立して営業強化を進めていくこと等を検討している。
売上規模としては2021年3月期で17〜18億円程度を目標としている。


(2) お客様サービスの向上
顧客サービスの向上として、2つの取り組みを進めている。
第1に、グローバルソーシング(最適調達)による顧客満足度の向上で、前述したようにマレーシア子会社に専門部署を設け、既に欧州向けで売上拡大の効果が出ている。
また、第2には前述したリバースエンジニアリング事業が挙げられる。
顧客サービスの向上を進めていくことで、顧客とのパイプをより太くし、Win-Winの関係を構築していく考えだ。


(3) 高収益事業の推進とR&Dの強化
ベトナム工場を起点としたグループ生産体制の最適化を図り、高収益化を実現していく。
最初の3年間は先行投資期間と位置付け、ベトナム工場の立ち上げ及び原価改善、中国生産拠点内からの生産移管を進めていく。
2020年3月期からの2年間でベトナム工場の生産能力強化と国内生産拠点から標準品(カタログ品)の一部を生産移管し、日本や増築した新工場が稼働する大連工場で特注品や高付加価値製品の生産を強化し、収益力の一段の強化を進めていく計画となっている。


また、R&Dの強化として食品・飲料、医療機器、航空宇宙産業関連への研究開発投資や設備投資、関連する認証取得などに取り組んでいく。
これら3つの業界については、景気変動の影響を受けにくい業界であると同時に、将来の成長も見込まれる。
既に、食品・飲料や医療関連では規模は小さいながらも売上高が増え始めている。


航空宇宙産業分野では世界標準の品質マネジメントシステムであるAS9100認証を、中国子会社で2015年1月に取得し、また、2016年3月には同子会社が航空宇宙産業における特殊工程である「熱処理工程」においてNadcap※の認証も取得した。
ただ、この分野は非常に高い安全性と信頼性が要求されるため参入障壁も高く、今回の中期経営計画では顧客と商談ができるレベルまでの関係構築を目標としており、業績面で寄与するのは早くても2021年度以降となる。
なお、航空宇宙産業以外でも鉄道車両向けの金型用部品についても製造に関する規格認証を取得しており、今後の進出を検討している。
鉄道車両業界も参入障壁は高いと見られるが、市場規模は日本よりも大きく今後の動向が注目される。


※航空宇宙産業における特殊工程や製品に対する国際的な認証制度のことで、米国のPRI (Performance Review Institute)が審査機関として運営している。
世界の航空宇宙関連企業である機体、エンジン及び搭載機器のプライムメーカー各社がサプライヤーに発注する製品に特殊工程が含まれる場合に、製造委託する条件としてNadcapの認証取得を義務付けている場合が多い。



(4) 働き方改革
社員重視の経営による組織力の強化を進めていく。
40名強のメンバーで「働き方改革委員会」を発足し、「ものづくり」や「売り方」「働き方」などに対する考え方を原点に戻って一から見直し、社員の意識改革を図っていく。
また、「人事制度」についてもグローバル企業として成長していくために適した人事制度の構築に取り組んでいく。


2.経営数値目標
具体的な経営数値目標として、2段階に分けて設定している。
第1段階目は2019年3月期まででベトナム工場の立ち上げなど投資による助走期間となる。
業績目標値としては2019年3月期に売上高420億円、営業利益25億円、親会社株主に帰属する当期純利益17億円を計画している。
その後、2年間はグループ新生産体制の本格始動による収益性向上を見込み、最終年度となる2021年3月期には売上高470億円以上、営業利益33億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益23億円以上を目標として掲げた。


地域別の年平均成長率(2017年3月期−2021年3月期)で見ると、日本市場が4.1%、中国市場が6.5%、アジア他市場が15.7%の成長となる。
日本と中国は自動車や電子部品・半導体向けに加えて高付加価値製品の伸びが見込まれる。
また、その他市場では欧米市場に加えてインド市場でも自動車生産の拡大により成長を見込んでいる。


また、2021年3月期までの5年間の総投資額は140億円を予定している。
過去4年間の総投資額が41億円であったことからすると、年間平均で3倍弱の投資規模となる。
ベトナム工場への投資のほか高付加価値品を強化するためのR&D設備への投資、また、国内や中国で老朽化した設備の更新投資などが含まれる。
更新に当たっては、生産性が向上する自動化ラインに置き換えていく。
設備投資資金は営業キャッシュフローの範囲内に収まる見込みだが、不足すれば借入金等で賄う予定としている。


営業利益率は2016年3月期の5.4%から2018年3月期は5.8%、2021年3月期は7.0%を見込んでいる。
2019年3月期までは先行投資期間となるため収益性も若干程度の上昇にとどまるが、後半の2年間では投資効果が顕在化し、収益性の向上が進むと見込んでいる。
また、ROEは2016年3月期の8.9%から2021年3月期は11.0%となる見通しだ。


世界の金型用部品の市場規模は2016年で約5,600億円規模になったと同社では推計しており、今後も年率数%の緩やかな成長が続くと見ている。
現在、同社の市場シェアは7%程度だが、精密金型用部品に絞ったシェアで見ればもう少し高くなる。
それでも同社が開拓できる領域は世界で見ればまだ多く残されており、成長ポテンシャルは大きい。
特注品と標準品(カタログ品)の両方の顧客ニーズに対応できる開発力やサポート力を強みに、新規顧客の開拓や既存顧客での取引シェア拡大を進めていくことで、更なる収益成長が期待される。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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