■事業概要
はてな (T:3930)のサービスは、個人向けサービスとして、ユーザーが文章や画像などのコンテンツを発信・閲覧・拡散するプラットフォームを提供するコンテンツプラットフォームサービスと、法人向けにオウンドメディア構築・運用及びコンテンツの拡散を支援するコンテンツマーケティングサービス、UGCの受託開発・運用サービスやサーバー監視サービス等を提供するテクノロジーソリューションサービスの3つで構成されている。
2018年7月期第2四半期累計のサービス別売上高構成を見ると、コンテンツプラットフォームサービスが30%、コンテンツマーケティングサービスが37%、テクノロジーソリューションサービスが32%となっており、バランスの取れた売上構成となっている。
個人向けのコンテンツプラットフォームで蓄積した技術・ノウハウを、今後の成長領域である法人向けのコンテンツマーケティング、テクノロジーソリューションに生かすことで高付加価値化を図っている。
また、法人ビジネスでの経験が、コンテンツプラットフォームサービスの強化などにも役立っており、3つのサービス領域でシナジーを高めながら成長を続けている。
1. コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスでは、ユーザーがコンテンツを発信・拡散するUGCサービスとして「はてなブックマーク」、「はてなブログ」等のサービスを展開している。
任意のWebページにユーザーがコメントを簡潔に付けることができる「はてなブックマーク」があることで、「はてなブログ」の記事に他のユーザーの意見や批評が集まりやすいことや、長い文章や論考、コラムのようなものを発信するITリテラシーの高いブロガーが比較的多いことが「はてなブログ」の特徴となっており、競合他社との差別化要因となっている。
売上は「はてなブログ」等の有料サービスの利用料のほか、ブログの無料ユーザーの画面に掲載する広告収入から成り、大半は広告収入で占められている。
広告収入に関しては、PV数×広告単価で決まる。
広告単価に関しては趨勢的に低下傾向となっているため、PV数をいかに伸ばすことができるかが、売上成長のカギを握ることになる。
PV数についてはサービスの利用ユーザー数の伸びなどが参考となるが、2018年7月期第2四半期末のユーザー数は前期末比53万人増の671万人と着実に増加している。
主要サービスは以下の3種類である。
(1) 人力検索はてな
2001年にサービス開始。
質問やアンケートを通じて疑問を解決するナレッジコミュニティサービスの草分け的な存在で、はてなの最初のサービスであり社名の由来ともなっている。
(2) はてなブックマーク
2005年に開始した国内最大級のソーシャルブックマークサービス。
気になったWebページを、感想やタグとともに、オンライン上で簡単に管理できる。
ブックマークを共有することにより、インターネット上で盛り上がっている話題を知ることができる。
(3) はてなブログ
2003年よりサービスを開始した「はてなダイアリー」の後継サービスで2013年に「はてなブログ」にリニューアルした。
シンプルでモダンなデザインに、執筆を助ける機能が充実したブログサービスで、長い文章をじっくり書いて発信したいハイエンドブロガー向けのサービス。
2. コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスではUGCサービスで培ったシステム・ノウハウを生かし、オウンドメディア構築のためのCMSやオウンドメディアに集客するための広告サービス等を提供している。
2014年から開始した「はてなブログMedia」は、オウンドメディアを構築・運用したいクライアント企業向けに提供するサービスである。
売上は「はてなブログMedia」のシステム利用料やコンテンツ作成支援料、ネイティブ広告・バナー広告・タイアップ広告収入等から成っている。
「はてなブログMedia」の運用媒体数は2018年7月期第2四半期末で42件と順調に増加している。
1企業で複数の媒体を運用しているケースもあり、ここ最近では働き方改革に関する情報発信や社員インタビュー等をテーマとして、「はてなブログMedia」を利用する企業が増加する傾向にある。
3. テクノロジーソリューションサービス
UGCサービスで蓄積してきた技術力やノウハウを活用し、企業のオウンドメディアをスクラッチで開発・構築する受託サービスや、データを分析して顧客企業にクラウドで提供するビッグデータサービス(クラウド支援サービス、アドテクノロジーサービス)を展開している。
(1) 受託サービス
オウンドメディア構築のためのコンテンツマーケティングサービスとは別に、ユーザー企業独自のシステム開発・運用を受託するサービスで、売上は受託開発料及び保守・運用料から成る。
任天堂 (T:7974)(イカリング2)、カドカワ (T:9468)(カクヨム)など大手企業のシステムを受託している。
また、マンガビューワー「GigaViewer」については(株)集英社、講談社向けにそれぞれ導入実績がある。
(2) ビッグデータサービス
クラウド支援サービスとして「Mackerel」、アドテクノロジーサービスとして「BrandSafeはてな」のサービスを提供している。
a) Mackerel
2014年よりサービス提供を開始した「Mackerel」は、クラウドサービスやデータセンターで稼働するサーバーやアプリケーションなどを簡単に管理することが出来るSaaS型の監視ツールであり、エンドユーザーのほかクラウド事業者向けにも提供している。
異なるクラウド環境やデータセンターサービスでも統一的に監視することが可能で、使いやすいUIと効率的なAPIにより、簡単に導入・運用できることが特徴となっている。
従来は、ユーザーが自前で監視ツールを構築して運用することが多かったが、クラウドコンピューティング等の技術進化に追従することが困難となってきており、使い勝手の良い「Mackerel」に対する引き合いが増えてきている。
類似商品がほぼ無いため、SaaS型サーバー監視ツール提供の先駆者として国内市場を開拓している段階にある。
Web企業、ゲーム制作企業やアドテク企業での導入が顕著だが、エンタープライズ領域における利用も試行されている。
監視には過去情報含めたデータ分析が重要となるため、一旦導入すると解約するケースは極めて低いほか、サーバー増設に伴い顧客単価が増加する傾向にある。
主なクライアントは、サイバーエージェント (T:4751)、任天堂 (T:7974)、GMOペパボ (T:3633)、freee(株)、(株)バンダイナムコスタジオ、(株)メルカリ、富士通クラウドテクノロジーズ(株)、KDDI (T:9433)、ビッグローブ(株)等が挙げられ、導入顧客数が右肩上がりで増加している。
b) BrandSafeはてな
「はてなブックマーク」で使用しているサイト判定アルゴリズムを元に開発したURL判定システムを用い、ブランド保護の観点から広告を配信するのに不適切なページの自動判定を行うサービスで、2014年より提供を開始している。
DSP※などの広告配信事業者のサービスに搭載することで、リアルタイムかつ高精度に配信先を判別し、不適切なサイトに広告が配信されないようにすることが可能。
主なクライアントとしては、フリークアウト (T:6094)、(株)プラットフォーム・ワン等がある。
※DSP=Demand-Side Platform:広告出稿の費用対効果を高めたい広告主のためのサービス。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
はてな (T:3930)のサービスは、個人向けサービスとして、ユーザーが文章や画像などのコンテンツを発信・閲覧・拡散するプラットフォームを提供するコンテンツプラットフォームサービスと、法人向けにオウンドメディア構築・運用及びコンテンツの拡散を支援するコンテンツマーケティングサービス、UGCの受託開発・運用サービスやサーバー監視サービス等を提供するテクノロジーソリューションサービスの3つで構成されている。
2018年7月期第2四半期累計のサービス別売上高構成を見ると、コンテンツプラットフォームサービスが30%、コンテンツマーケティングサービスが37%、テクノロジーソリューションサービスが32%となっており、バランスの取れた売上構成となっている。
個人向けのコンテンツプラットフォームで蓄積した技術・ノウハウを、今後の成長領域である法人向けのコンテンツマーケティング、テクノロジーソリューションに生かすことで高付加価値化を図っている。
また、法人ビジネスでの経験が、コンテンツプラットフォームサービスの強化などにも役立っており、3つのサービス領域でシナジーを高めながら成長を続けている。
1. コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスでは、ユーザーがコンテンツを発信・拡散するUGCサービスとして「はてなブックマーク」、「はてなブログ」等のサービスを展開している。
任意のWebページにユーザーがコメントを簡潔に付けることができる「はてなブックマーク」があることで、「はてなブログ」の記事に他のユーザーの意見や批評が集まりやすいことや、長い文章や論考、コラムのようなものを発信するITリテラシーの高いブロガーが比較的多いことが「はてなブログ」の特徴となっており、競合他社との差別化要因となっている。
売上は「はてなブログ」等の有料サービスの利用料のほか、ブログの無料ユーザーの画面に掲載する広告収入から成り、大半は広告収入で占められている。
広告収入に関しては、PV数×広告単価で決まる。
広告単価に関しては趨勢的に低下傾向となっているため、PV数をいかに伸ばすことができるかが、売上成長のカギを握ることになる。
PV数についてはサービスの利用ユーザー数の伸びなどが参考となるが、2018年7月期第2四半期末のユーザー数は前期末比53万人増の671万人と着実に増加している。
主要サービスは以下の3種類である。
(1) 人力検索はてな
2001年にサービス開始。
質問やアンケートを通じて疑問を解決するナレッジコミュニティサービスの草分け的な存在で、はてなの最初のサービスであり社名の由来ともなっている。
(2) はてなブックマーク
2005年に開始した国内最大級のソーシャルブックマークサービス。
気になったWebページを、感想やタグとともに、オンライン上で簡単に管理できる。
ブックマークを共有することにより、インターネット上で盛り上がっている話題を知ることができる。
(3) はてなブログ
2003年よりサービスを開始した「はてなダイアリー」の後継サービスで2013年に「はてなブログ」にリニューアルした。
シンプルでモダンなデザインに、執筆を助ける機能が充実したブログサービスで、長い文章をじっくり書いて発信したいハイエンドブロガー向けのサービス。
2. コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスではUGCサービスで培ったシステム・ノウハウを生かし、オウンドメディア構築のためのCMSやオウンドメディアに集客するための広告サービス等を提供している。
2014年から開始した「はてなブログMedia」は、オウンドメディアを構築・運用したいクライアント企業向けに提供するサービスである。
売上は「はてなブログMedia」のシステム利用料やコンテンツ作成支援料、ネイティブ広告・バナー広告・タイアップ広告収入等から成っている。
「はてなブログMedia」の運用媒体数は2018年7月期第2四半期末で42件と順調に増加している。
1企業で複数の媒体を運用しているケースもあり、ここ最近では働き方改革に関する情報発信や社員インタビュー等をテーマとして、「はてなブログMedia」を利用する企業が増加する傾向にある。
3. テクノロジーソリューションサービス
UGCサービスで蓄積してきた技術力やノウハウを活用し、企業のオウンドメディアをスクラッチで開発・構築する受託サービスや、データを分析して顧客企業にクラウドで提供するビッグデータサービス(クラウド支援サービス、アドテクノロジーサービス)を展開している。
(1) 受託サービス
オウンドメディア構築のためのコンテンツマーケティングサービスとは別に、ユーザー企業独自のシステム開発・運用を受託するサービスで、売上は受託開発料及び保守・運用料から成る。
任天堂 (T:7974)(イカリング2)、カドカワ (T:9468)(カクヨム)など大手企業のシステムを受託している。
また、マンガビューワー「GigaViewer」については(株)集英社、講談社向けにそれぞれ導入実績がある。
(2) ビッグデータサービス
クラウド支援サービスとして「Mackerel」、アドテクノロジーサービスとして「BrandSafeはてな」のサービスを提供している。
a) Mackerel
2014年よりサービス提供を開始した「Mackerel」は、クラウドサービスやデータセンターで稼働するサーバーやアプリケーションなどを簡単に管理することが出来るSaaS型の監視ツールであり、エンドユーザーのほかクラウド事業者向けにも提供している。
異なるクラウド環境やデータセンターサービスでも統一的に監視することが可能で、使いやすいUIと効率的なAPIにより、簡単に導入・運用できることが特徴となっている。
従来は、ユーザーが自前で監視ツールを構築して運用することが多かったが、クラウドコンピューティング等の技術進化に追従することが困難となってきており、使い勝手の良い「Mackerel」に対する引き合いが増えてきている。
類似商品がほぼ無いため、SaaS型サーバー監視ツール提供の先駆者として国内市場を開拓している段階にある。
Web企業、ゲーム制作企業やアドテク企業での導入が顕著だが、エンタープライズ領域における利用も試行されている。
監視には過去情報含めたデータ分析が重要となるため、一旦導入すると解約するケースは極めて低いほか、サーバー増設に伴い顧客単価が増加する傾向にある。
主なクライアントは、サイバーエージェント (T:4751)、任天堂 (T:7974)、GMOペパボ (T:3633)、freee(株)、(株)バンダイナムコスタジオ、(株)メルカリ、富士通クラウドテクノロジーズ(株)、KDDI (T:9433)、ビッグローブ(株)等が挙げられ、導入顧客数が右肩上がりで増加している。
b) BrandSafeはてな
「はてなブックマーク」で使用しているサイト判定アルゴリズムを元に開発したURL判定システムを用い、ブランド保護の観点から広告を配信するのに不適切なページの自動判定を行うサービスで、2014年より提供を開始している。
DSP※などの広告配信事業者のサービスに搭載することで、リアルタイムかつ高精度に配信先を判別し、不適切なサイトに広告が配信されないようにすることが可能。
主なクライアントとしては、フリークアウト (T:6094)、(株)プラットフォーム・ワン等がある。
※DSP=Demand-Side Platform:広告出稿の費用対効果を高めたい広告主のためのサービス。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)