40%引きでご購読
新規!💥 ProPicksを手に入れ、S&P 500を1,183%を超える投資成績を実現した、戦略をご覧ください40%割引で開始

メディシノバ Research Memo(2):市場規模の大きい米国で開発を進めるバイオベンチャー

発行済 2019-03-27 15:02
更新済 2019-03-27 15:22
© Reuters. メディシノバ Research Memo(2):市場規模の大きい米国で開発を進めるバイオベンチャー

■事業概要1. 会社沿革メディシノバ (T:4875)は2000年9月、医薬品候補品の導入・開発を目的に田辺製薬(株)(現田辺三菱製薬 (T:4508))の米国子会社であるタナベ リサーチ ラボラトリーの100%子会社として米国に設立された。

代表取締役社長の岩城裕一(いわきゆういち)氏は、臓器移植専門の外科医師として27歳で渡米し、臓器移植のメッカである米ピッツバーグ大学で最年少教授となるなど医療の最前線で活躍していたが、外科医として救える患者数の限界を感じ、より広範な患者の治療に役立つような医薬品を開発していくという思いで同社を立ち上げ、現在に至っている。

設立2年目には、田辺製薬の経営方針転換により、田辺製薬から独立して事業を継続していくことになり、2002年に杏林製薬(株)(現キョーリン製薬ホールディングス (T:4569))より抗炎症剤のタイペルカストをライセンス導入したのを皮切りに、中堅製薬企業から有望と思われる医薬品のライセンス導入を行い、米国で開発を進めている。

現在の主な開発化合物はイブジラストとタイペルカストの2つで、合わせて8の適応領域において開発を進めている。

上市まで進んだ開発品はまだないため、安定的な収入はなく開発フェーズの企業となる。

株式の上場は2005年で、まず大阪証券取引所ヘラクレス外国部(現東証JASDAQ)に上場を果たし、2006年に米NASDAQ市場に上場している。

2019年3月末の従業員数は8名で、うち研究開発部門が3名、事業開発部門が2名、管理・財務部門が3名といった構成となっている。

医薬品の開発戦略に関しては、日米で小児科専門医であったCMO(チーフ・メディカル・オフィサー)の松田和子(まつだかずこ)氏が中心となって進めている。

同社の特徴は、医療現場での勤務経験のある人材が医師の視点から開発を進めていることにあり、実際の医療ニーズやトレンドなどを的確に判断できる点にある。

子会社は4社あり、2006年に欧州での臨床開発を目的としたメディシノバ・リミテッド(ヨーロッパ)を、2007年に日本・アジアでの事業展開、IR・PR活動を目的としたメディシノバ製薬(株)をそれぞれ設立したほか、2009年に神経疾患治療薬の開発を行っていたNASDAQ上場の創薬ベンチャーの米アヴィジェンを完全子会社化している。

また、2019年に入り、ブレグジット(英国のEU離脱)を考慮し、今後のEUにおける臨床開発を円滑に進めるためにドイツで子会社を設立している。

2. ビジネスモデルと現在の開発ポートフォリオ同社のビジネスモデルは、主として日本の中堅製薬企業から、新たな適応領域の可能性があると思われる医薬品に関して、主に欧米での開発販売に関するライセンスを導入し、市場規模の大きい米国で開発を進め、収益化していくことを基本戦略としている。

また、ライセンス導入した医薬品に関して、自社で臨床開発から上市まで進めるケース、治験のフェーズ2が終わった段階で提携先企業にライセンスアウトし、契約一時金やマイルストーン収入、ロイヤルティ収入を得るケースに分けられる。

どちらを選択するかは、開発パイプラインの状況やその時の財務状況などによって判断していくことになるが、将来的にはグローバルに展開する製薬企業になることを目標としている。

日本の製薬企業の中で、海外で医薬品の開発を積極的に行う体力やスキルがあるのは売上規模で5,000億円を超える大手5社程度に限られており、中堅以下の製薬企業では自社で海外開発を進めるよりも、他社にライセンス供与することで収益機会を得る戦略を選択するケースが多い。

同社はこうした中堅製薬企業が保有している医薬品の中から、有望な製品を探索してライセンス導入を行い、市場規模の大きい米国市場で有効と考えられる適応領域を見出しながら開発を進めている。

このように既存の医薬品や開発段階で中断した化合物を、当初の適応領域とは異なる疾患の治療薬として開発することを“ドラッグ・リポジショニング”と呼んでおり、近年、新たな新薬開発の手法として脚光を浴びている。

既にヒトでの安全性や薬物動態の試験が済んでいるため、いくつかの試験をスキップでき、開発期間の短縮や研究開発コストの低減が可能になるといった利点がある。

“ドラッグ・リポジショニング”の分かりやすい実例としては、アスピリン(解熱鎮痛薬→血栓予防薬、心筋梗塞予防薬)、ミノキシジル(高血圧薬→毛髪再生薬)、バイアグラ(狭心症治療薬→男性機能改善薬)などがある。

現時点の開発化合物は4つで、これまで合わせて11の適応領域において開発を進めてきたが、このうち2つの化合物(イブジラスト、タイペルカスト)に経営資源を集中し、今後の開発を進めていく方針となっている。

これら主要開発パイプラインの中には、FDAからオーファンドラッグ指定を受けたものが4件、ファストトラック指定を受けたものが5件あり、また、ALSの適応症についてはFDAからだけでなく、欧州委員会からもオーファンドラッグ指定を受けるなど、創薬ベンチャー企業の中では突出した指定承認件数となっている点は注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

最新のコメント

当社アプリをインストール
リスク開示書: 金融商品や仮想通貨の取引は投資金額を失う高いリスクがあります。仮想通貨の価格は非常にボラティリティーが高く、金融、規制、政治など、外的な要因に影響を受けることがあります。また信用取引はリスクが高いことを十分に理解してください。
金融商品または仮想通貨の取引をする前に、金融市場での取引に関わるリスクやコストについて十分に理解し、専門家の助言を求めたり、ご自身の投資目的や経験値、リスク選好等を注意深く検討することを推奨いたします。
Fusion Media によるこのウェブサイトのデータが、必ずしもリアルタイムおよび正確ではないということをご了承ください。またデータや価格が、必ずしも市場や取引所からではなく、マーケットメーカーにより提供されている場合があります。その為、価格は気配値であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。Fusion Media および当ウェブサイトへのデータの提供者は、当ウェブサイトに含まれる情報を利用したすべての損失に対して一切の責任を負わないものとします。
Fusion Media およびデータ提供者による事前の書面の許可なしに、当ウェブサイト上のデータを使用、保存、複製、表示、変更、送信、配信することを禁じます。すべての知的財産権は当ウェブサイト上のデータの提供者、または取引所が有します。
Fusion Media は当ウェブサイトに表示される広告により報酬を得ることがあります。
上記内容は英語版を翻訳したものであり、英語版と日本語版の間に不一致がある時は英語版が優先されます。
© 2007-2024 - Fusion Media Limited. 無断複写・転載を禁じます