日経平均は3日ぶり反落。
42.28円安の21420.58円(出来高概算5億株)で前場の取引を終えている。
20日の米株式市場でNYダウは249ドル高と4日続伸。
S&P500種株価指数は4月末に付けていた史上最高値を更新した。
前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて7月の利下げを確実視する見方が強まり、アジア・欧州株高につれて買いが先行。
月末の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて開かれる米中首脳会談での協議進展への期待も相場を押し上げた。
一方、米利下げ観測や中東情勢を巡る地政学リスクの高まりから、為替市場では円相場が1ドル=107円台前半まで上昇。
本日の日経平均は24円高からスタートしたが、前日までの株価上昇を受けた利益確定の売りや輸出企業の採算悪化を懸念した売りも出て、前日終値を挟みもみ合う場面が続いた。
東証1部の値下がり銘柄は全体の5割強、対して値上がり銘柄は4割強となっている。
個別では、ソフトバンクG (T:9984)が朝高後に反落。
出資先である米スラック・テクノロジーズの上場などの材料があったが、利益確定の売りに押された。
前日まで6日続伸していた資生堂 (T:4911)だが、本日はやはり利益確定の売りが出て3%超の下落。
その他売買代金上位ではファーストリテ (T:9983)、任天堂 (T:7974)、ソニー (T:6758)などがさえない。
スシローGHD (T:3563)が大幅に4日続落し、親会社の身売り交渉が難航と伝わったネクソン (T:3659)は急反落。
また、七十七銀 (T:8341)は一部証券会社のレーティング引き下げ観測を受け、東証1部下落率トップとなった。
一方、キーエンス (T:6861)、東エレク (T:8035)、ファナック (T:6954)といったハイテク株の一角が堅調。
NY原油先物相場が急伸し、国際帝石 (T:1605)が3%超上昇したほか、石油元売り大手なども買われた。
また、ニーズウェル (T:3992)などが東証1部上昇率上位に顔を出した。
セクターでは、医薬品、建設業、空運業などが下落率上位。
反面、鉱業、石油・石炭製品、海運業などが上昇率上位だった。
米国を中心とした主要国・地域の金融緩和、また米中首脳会談での協議進展への期待が続き、NYダウは史上最高値を窺う動きを見せている。
もちろんこうした動きは投資家心理の改善につながり、日本株にとっても追い風となるが、一昨日にも懸念材料として挙げた為替の円高進行が顕在化してきている。
米国で早期利下げ観測が強まり、米10年物国債利回りは一時2%を下回った。
日銀に対する追加緩和の催促も強まっているが、政策余地は限られるとの見方から円高圧力がかかりやすい。
企業の今期想定為替レート(1ドル=108~109円)を上回る円高進行で業績期待が低下するだろう。
今年10月に予定される消費増税の影響への懸念も拭えない。
これらの点を考慮すれば、海外投資家の日本株投資意欲は依然高まりにくいだろう。
日経平均は節目として意識される21500円手前での失速から、後場一段の売りが出る可能性もある。
なお、大量保有報告書や変更報告書を見ると機関投資家の中小型株売買が活発となっている。
外部環境の影響を受けにくい、成長期待株の個別物色に活路を見出したいところだ。
(小林大純)