前日の米国市場はトランプ大統領による3000億ドルの中国製品への10%の輸入関税賦課により、主要3指数揃って大きく下落した。この発表まではダウ平均株価は2万7175ドルまで上昇し、前日の下落分の大半を戻していたが、結局約280ドル安の大幅安となった。この第4弾の関税はあまりにも突然であったこともあり、金融市場は米中貿易戦争に代表される貿易政策の不確実性を再認識させられたといえよう。FOMCの結果に関してパウエルFRB議長に「いつも通り失望した」と大きな不満を示していたが、この関税賦課を想定していたのならFRBを執拗に口撃していたのも頷ける。どちらにしてもまたもや「トランプ劇場」によって金融市場は右往左往させられている。
米10年債利回りは大きく低下し1.885%、ドル/円は大きく円高に振れ107.06円となっている。上海総合指数は1.46%安、ドル/人民元は0.59%高だ。
日経平均株価は午前11時29分時点で2万1012円まで大幅安となっている。後場の焦点は日経平均が終値で2万1000円を守れるかだろう。7月18日の際は守ったが、今回は10%の関税賦課が理由なだけに、状況はなかなか厳しい。底堅さを示せれば来週以降の上昇につながるだろうから、後場の値動きには注目が集まる。
米国では決算発表が進み、S&P500のうち355社が終えているが、Refinitivによると、74.4%が予想を上回っている。また、Refinitivによると、アナリストはS&P500の増益率が2.5%と予想しており、1か月前の0.3%から上昇している。米中貿易戦争の激化は今後この結果にも影響を与えてくるだろう。
本日は米雇用統計が予定されている。昨日のISM製造業購買担当者景気指数は前月より低下し、米製造業の減速が示された。関税賦課で次回FOMCでの追加利下げへの気運が大きく高まっているが、雇用統計の結果がそれを加速させるものとなるのかに関心が集まる。