[東京 10日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は反発した。米中通商協議を巡る観測報道で一喜一憂し、前場は乱高下の展開となった。後場は一転、手掛かり難から動きが乏しくなったが、為替が1ドル107円半ばで安定的に推移したことが支えとなり、プラス圏でもみあった。
前日の米国株式市場は、主要3指数が上昇して取引を終えた。中国が部分的な合意を依然として受け入れる用意があるとのブルームバーグの報道や、中国が米農産物の年間購入拡大を提案するとのフィナンシャル・タイムズの報道が相場を押し上げた。
米国株市場の流れを引き継ぎ、東京市場でも小じっかりの動きが見込まれたが、寄り付き前に米中協議が不調との観測報道が出たことで投資家心理が一変。幅広い銘柄が売られて始まる展開となった。
その後、CNBCの記者がツイッターへの投稿で、サウスチャイナ・モーニング・ポストの朝方の報道 を否定。トランプ米政権が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への一部製品供給を容認するライセンスを近く発行するという米ニューヨーク・タイムズの報道などもあり、過度な懸念は和らいだ。
市場からは「度々出てくる観測報道に反応して相場が振り回されている。キーワードを抽出して売買をしかけるアルゴリズム取引が影響しているのではないか」(国内証券)との声が出ていた。
後場は一転、手掛かり材料に欠き、様子見ムードが広がった。市場からは「明日にオプションSQ(特別清算指数)算出を控えていることも見送り要因」(別の国内証券)との声も出ていた。
TOPIXは続落。東証33業種では、保険業、その他製品、サービス業などが値下がり率上位となった。一方、海運業、証券業、化学工業などは買われた。
個別銘柄では旭化成 (T:3407)が注目された。スウェーデンの王立科学アカデミーが9日、2019年のノーベル化学賞を、名誉フェローの吉野彰氏ら3人に授与すると発表したことが材料視され、一時4%近く上昇。東証一部の出来高、売買代金の上位に入った。
東証1部の騰落数は、値上がり595銘柄に対し、値下がりが1458銘柄、変わらずが100銘柄だった。
日経平均 (N225)
終値 21551.98 +95.60
寄り付き 21456.27
安値/高値 21308.88─21601.46
TOPIX (TOPX)
終値 1581.42 -0.28
寄り付き 1578.79
安値/高値 1565.04─1583.05
東証出来高(万株) 106911
東証売買代金(億円) 18158.05