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AOITYOHold Research Memo(2):AOI Pro.とTYOの経営統合により設立された共同持株会社

発行済 2019-10-18 15:02
更新済 2019-10-18 15:21
© Reuters.  AOITYOHold Research Memo(2):AOI Pro.とTYOの経営統合により設立された共同持株会社

■会社概要1. 事業概要AOI TYO Holdings (T:3975)は、AOI Pro.とTYOを傘下に持つ共同持株会社であり、テレビCMの企画・制作を始め、広告主直接取引や動画コンテンツマーケティングを軸とした「ソリューション事業」などを手掛けている。

業界大手2社の経営統合により2017年1月に設立され、テレビCM制作においてはトップシェアを誇る。

事業セグメントは広告事業の単一セグメントであるが、サブセグメントとしている事業区分は「動画広告事業」「広告関連事業」「ソリューション事業」「海外事業」の4つに分類される※。

主力である「動画広告事業」が売上高全体の約70%を占めているが、「ソリューション事業」「海外事業」についても今後の成長ドライバーとして注力している。

※2019年12月期より、事業区分・名称を変更している(詳細は後述)。

顧客別売上構成比は、「電通 (T:4324)グループ」向けが22.6%、「博報堂(博報堂DYホールディングス (T:2433))グループ」向けが29.6%、「直接取引」が27.8%、「その他」が20.0%とバランスが取れている。

「直接取引」は過去からTYOが得意としてきたが、経営統合後も「ソリューション事業」の伸びに連動する形で増加している。

また、媒体別売上構成比では、「テレビCM制作」58.6%、「エンタテイメントコンテンツ」3.4%、「デジタルコンテンツ」20.6%、「海外」4.8%、「その他」12.6%となっているが、趨勢としては動画広告需要の拡大とともに「デジタルコンテンツ」が伸びる傾向にある。

各事業の概要は以下のとおりである。

(1) 動画制作事業テレビCM、オンライン動画などの広告映像の企画・制作を行っている。

特に、テレビCMについては、AOI Pro.及びTYOともに主力としてきた事業であり、業界大手2社の経営統合によりトップシェアを握るに至った。

堅調な受注環境が続くなか、両社ともに数々の優れた作品を手掛けてきた。

インターネットの普及などに伴う媒体価値の変化やプリントレス化による収益性低下の懸念などに直面し、収益構造の変革や業務効率化が課題となっているが、市場が拡大しているオンライン動画を含め、同社の強みとするクオリティの高い動画広告により、圧倒的なポジショニングの確立を目指している。

(2) 広告関連事業映画やドラマ、イベントの企画制作及びデジタルコンテンツ、販促物、ミュージックビデオの制作などを行っている。

主力事業と親和性の高い領域への展開による実績の積み上げ※や、周辺ソリューション(プロモーション及びコンテンツ領域)の強化により市場の囲い込みを狙う戦略である。

※ 最近では、AOI Proが出資・制作し、是枝裕和(これえだひろかず)氏が監督を務めた映画『万引き家族』が、第 71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で最高賞に当たるパルムドールに選ばれている。

同社は、エンタテイメントコンテンツと広告映像が融合する時代を見据え、エンタテイメントコンテンツへの取り組みを継続するとともに、更なる事業の広がりを目指す方針である。

(3) ソリューション事業顧客の問題解決のための施策を提供する事業である。

TYOオファリングマネジメント部門※1とAOI Pro.の子会社(株)Quark tokyo※2による業績をほぼ合算したものとなっているが、ほかにSOOTH(株)※3なども含まれる。

※1 広告主直接取引により、複合的なメディア展開などを軸としたワンストップソリューションを提供している。

※2 動画を中心としたマーケティング戦略立案から、デジタル時代のコミュニケーションに必要なすべてのPDCAソリューションを提供している。

※3 バイタルセンシングデータを活用した体験設計ソリューション等のサービスを提供している。

(4) 海外事業東南アジア(タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシア、インド)を中心とする海外拠点(日系及び現地企業向け事業)のほか、海外プロダクションから受注する映像制作が含まれる。

AOI Pro. 及びTYOともに積極的に取り組んできた地域が多く、今後の成長ドライバーの1つに位置付けられる。

M&Aにも積極的であり、2019年7月にはマレーシアの広告会社「ISC INNOVATORS」との合弁会社「K&L ISC」を連結子会社化している。

一方で、業績不振の北京現地法人を整理するなど、今後の展開を見据えた事業の再構築にも取り組んでいる。

2. 沿革(1) AOI Pro.同社の歴史は古く、1963年にテレビCM制作を目的とする(株)葵プロモーションとして、東京都港区に設立されたことに溯る。

一貫してテレビCMを主力とする映像制作会社として事業基盤を確立。

1990年には更なる発展と社会的信用向上のために、業界の中で先陣を切ってJASDAQに上場した。

その後も、話題性に溢れた数々の映像作品を生み出すことで順調に業績を拡大し、1998年に東証2部、2000年には東証1部へ上場。

大手テレビCM制作会社の一角として、名実ともに確固たるポジションを確立してきた。

一方、2011年9月には、インドネシアにテレビCM制作関連業務を行うための海外拠点を開設、また、2014年10月には、新たな成長領域である動画コンテンツマーケティング事業の本格展開を目指し、オンライン動画プラットフォームの効果測定及び運用を得意とするナカミノ(株)※を資本提携によりグループ(持分法適用関連会社)化するなど、多様化するメディアへの対応やオンライン動画などのデジタルコンテンツへの需要拡大、成長著しいアジアへの日系企業の進出などを見据え、同業他社に先駆けて体制を構築してきた。

※2015年12月末には追加出資により連結子会社化し、2016年4月に(株)Quark tokyoに商号を変更。

(2) TYO同社は、1982年4月に東京都港区六本木においてテレビCM制作会社として設立された。

大手テレビCM制作会社の中では後発となる。

現在AOI TYO Holdingsの代表取締役会長CEOを務めている吉田博昭(よしだひろあき)氏とTYOの代表取締役社長早川和良(はやかわかずよし)氏を含む5 名のCMクリエイターが「クリエイターの、クリエイターによる、クリエイターのための理想の会社づくり」という夢を掲げて同社を立ち上げた。

2002年にJASDAQへ上場。

その後もJR東海(東海旅客鉄道 (T:9022))の「そうだ 京都、行こう。

」など、消費者の印象に残る数々のテレビCM制作を手掛けてきたクリエイティブ力を武器に業績を拡大し、2013年10月に東証2部へ市場変更すると、2014年1月には東証1部へ指定替えとなった。

テレビCM、オンライン動画、デジタルやイベントなど多様なコンテンツ制作を手掛け、広告主の広告宣伝や販促活動に最適となるワンストップソリューションに強みを持つ。

また、業界に先行して広告主直接取引※の営業体制・ノウハウを蓄積しており、広告主との長期的な関係の構築、案件規模の拡大、販売促進費の獲得にも注力し、さらに、海外展開にも積極的に取り組んできた。

※2003年7月より広告主直接取引の営業を開始し、現在はTYOオファリングマネジメント部門がグループ全体の広告主直接取引の営業を担う。

(3) 経営統合(2017年1月)に至った経緯インターネットを中心としたメディア(媒体)の多様化や、スマートフォンやタブレット端末などに代表されるデバイスの多様化に加え、通信速度やデータ解析、VRやARなどのテクノロジーの進化により広告業界を取り巻く環境が大きく急激に変化しているなかで、それまでのテレビCM制作では大きな成長は見込みにくくなる一方、広告に関連する事業領域は、その手法や構造の変化を伴いながらも拡大していくものと予想されている。

そのような環境認識のもと、業界をリードする新たなグループを形成し、経営資源の結集及び有効活用により、「より大きなシェア」「より強い交渉力」「より強靭な資本」を保持するとともに、競争力のある先進的なビジネスモデルを構築していくことが中長期的な成長のために必要であると判断したものである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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