[ストラスブール 22日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は22日、イタリアとフランスの財務相宛に書簡を送り、来年の予算案がEU財政規律に違反する可能性があるとし、23日までに詳細に説明するよう要請した。
欧州委はこのほか、歳出増に関連してフィンランドに書簡を送ったほか、総選挙が実施されたことで予算案が不完全だったスペイン、ポルトガル、ベルギーにも書簡を送付した。
欧州委がイタリアに送付した書簡は22日付で、欧州委のドムブロフスキス委員(金融安定・金融サービス担当)とモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)が署名。2020年予算案について「債務削減基準を順守していない」とした。
欧州委は昨年もイタリアに対し同様の見解を示しているが、モスコビシ委員は記者団に対し、イタリアを巡る状況は現在は昨年とは大幅に異なっているとし、欧州委は予算案の変更を求めることはしないと強調。ただ、グアルティエリ経済・財務相に対し、構造的な財政収支の悪化などについて理由を説明するよう求めた。
欧州委は同時に、イタリアに例外措置を認めるか検討していると表明。認められればイタリアはEU財政規律に違反することなく財政目標から乖離することが可能になる。
フランスのルメール財務相宛に送付した書簡では、現行の予算案では公的債務に関する部分がEU規律に違反すると指摘した。
このほか、総選挙が実施されたスペイン、ポルトガル、ベルギーに対してはEUが定める期日の10月15日までに完全な形で来年の予算案が提出されなかったと指摘。フィンランドに対しては公的支出が増加していることについて書簡を送った。フィンランド政府はこうした措置は一時的なもので、長期的に雇用を押し上げ公的財政を改善させるために必要なものと説明した。