日経平均は7日続伸。
107.86円高の22975.13円(出来高概算6億7000万株)で前場の取引を終えている。
週明け28日の米株式市場でNYダウは続伸し、132ドル高となった。
トランプ大統領が米中貿易協議の部分合意について楽観的な見方を示したほか、欧州連合(EU)が英国の離脱期限の延長を認め、投資家心理が上向いた。
主要企業の好調な決算も相場を押し上げた。
為替市場では1ドル=109円近辺まで円安が進み、本日の日経平均はこうした流れを引き継いで83円高からスタート。
朝方には一時23008.43円(141.16円高)まで上昇し、取引時間中としては昨年10月以来、およそ1年ぶりに23000円台を回復する場面があった。
その後、短期的な達成感や高値警戒感から売りも出たが、日経平均は高値圏で堅調に推移した。
東証1部の値上がり銘柄は全体の8割弱、対して値下がり銘柄は1割強となっている。
個別では、ソフトバンクG (T:9984)が6日ぶりに反発。
2%を超える上昇で日経平均を約23円押し上げた。
任天堂 (T:7974)、トヨタ自 (T:7203)、ソニー (T:6758)も堅調。
決算発表銘柄では自社株買い実施も合わせて公表したオリックス (T:8591)が4%近く上昇し、日東電 (T:6988)は5%を超える上昇。
好決算のVコマース (T:2491)だけでなく、業績下方修正を発表したミスミG (T:9962)や航空電子 (T:6807)も悪材料出尽くし感から急伸した。
また、全固体電池関連として人気化している三桜工 (T:6584)は連日でストップ高を付けた。
一方、業績下方修正を発表したファナック (T:6954)やキヤノン (T:7751)、直近株価が大幅に上昇していたSUMCO (T:3436)やエーザイ (T:4523)は軟調。
エムスリー (T:2413)も利益確定売りに押され4%近く下落し、UMCエレク (T:6615)などとともに東証1部下落率上位に顔を出した。
セクターでは、その他金融業、銀行業、保険業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。
下落したのは空運業と繊維製品の2業種のみだった。
米中協議の進展期待や良好な企業業績を背景に米国で株高と長期金利の低下、為替の円安進行が進み、これを追い風に日経平均はおよそ1年ぶりに23000円台を回復する場面があった。
日本でも今週から企業決算の発表が本格化。
輸出企業を中心に減益決算や業績下方修正は相次いでいるが、ファナックやキヤノンが朝安後に下げ渋ったことは安心感につながっているようだ。
企業業績の底打ち期待、決算発表後のあく抜け期待はなお強いことが窺える。
本日からの連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げが見込まれる米国を中心とした世界的な金融緩和の流れも景気の下支えとして期待されている。
ただ、設備投資関連として注目されるファナックの決算に対する市場評価を見ると、中国を中心に厳しい事業環境が続いており、業績底打ちとみる向きは少ない。
キヤノンは既存事業の減速が続き、株価急反発した日東電すら先行きについて慎重な見方が多い。
米中協議の進展期待や金融緩和の流れが足元の株価を支えているものの、決算を受け実態を慎重に見極める必要はありそうだ。
なお、本日は富士通 (T:6702)、HOYA (T:7741)、NTTドコモ (T:9437)などが決算発表を予定している。
(小林大純)