[ニューヨーク 12日 ロイター] - オプションの世界で、米株急落に備えたヘッジの動きがでている。シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出しているSkew指数 (SKEWX)、別名「ブラックスワン指数」が約14カ月ぶりの高水準をつけた。しかし、米アナリストはパニックになる根拠は乏しいと指摘する。
Skew指数は9日に136.56と2018年10月以来の高水準を記録した。直近は134.37。
ブラックスワンは、元オプション・トレーダーのナシーム・ニコラス・タレブ氏が著書の題名。確率は低いが、実際起こると甚大な損害をもたらすテールリスクを指す。Skew指数の上昇は、テールリスクの高まりを意味する。
Skew指数はこれまでに少なくとも1回、株急落を「予告」している。2014年9月、同指数が急伸した後、S&P総合500種指数 (SPX)が7%下落した。
しかし、投資家は、市場急落を予測するうえでSkew指数の有効性を疑問視している。
データトレックの共同創業者ニコラス・コラス氏は11日付のノートで「確かにオプション市場は次の米株クラッシュのシグナルを出している。しかし、それは2014年以降、ずっと続いていることで、その間にS&Pはほぼ倍になった」と指摘した。
米株市場がなぎ状態だった過去6年のSkew指数は平均は130弱。それ以前の10年の平均より10ポイント高い。
アナリストは、Skew指数自体の重要性は限定的と指摘する。
トールバッケン・キャピタル・アドバイザーズのマイケル・パーブス最高経営責任者(CEO)は、Skew指数が上昇したのは、中央銀行の金融政策や英総選挙、米中貿易戦争といった不確実要因から投資家がヘッジに動いたとみている。