■強み1. 大手顧客からの安定受注アイエックス・ナレッジ (T:9753)の強みは、コンサルティングからシステム開発、システム運用・保守に至るまでの総合的かつ一貫的なサービスを提供できる体制を整えていることである。
加えて、創業以来長年にわたり構築してきた強固でバランスの取れた顧客基盤を有することも強みと考えられる。
2020年3月期第2四半期における主要顧客の動向を見ると、構成比の大きいトップ5社のうち、KDDI (T:9433)グループ(システム検証案件など)、NEC (T:6701)グループで構成比が前年同期から上昇し、日立グループ(車載システム案件など)、NTTデータグループ、みずほフィナンシャルグループ (T:8411)(次期システム案件など)で構成比が前年同期から下がった。
上位10社の構成比は71.8%(前年同期は73.9%)と上位集中度が高い。
さらに、これらのユーザーとの取引関係で蓄積してきた業務知識やノウハウを保有することも強みとなっている。
銀行の外為システム開発に関しては、ユーザーから同社の実績が評価され、大手システムインテグレーターを経由せずにエンドユーザーと直接取引しているのは、その表れと言える。
2. 人財マネジメント力同社にとって、「人財」が差別化の源泉であることに疑いの余地はない。
これまで毎年継続的に50名~100名の新卒採用を行っており、2017年4月に60名、2018年4月に77名、2019年4月に60名が入社し、2020年4月も78名を予定する。
新入社員は半年間の研修(集合研修3ヶ月、OJT3ヶ月)を経て配属されるが、同社の手厚い研修・新人サポートは“人を育てる環境が整った会社”として学生の間でも評価が高い。
例えば、事業部によるプレゼンテーションが年に1回行われ、自ら配属希望を提出できる形式になっている。
さらに配属後もスキルアップ研修などを充実させることにより、モチベーションの維持・向上を図っている。
働き方改革に関しても、先取りした取り組みを行ってきた。
新規採用に占める女性の比率は約半数、全体でも女性SE比率は約2割であり、産休復帰率100%が示すように、女性にとって働きやすい環境を整えてきた。
数年前から取り組む残業削減の取り組みは、平均残業時間が15時間以下と業界平均を下回る。
短縮勤務やテレワーク(管理部門中心)も実験的に導入(本社で月2回)しており、新たな取り組みにも挑戦している。
また、同社は「健康経営」にも積極的だ。
特に活発な活動はスポーツであり、野球、サッカー、フットサル、バスケットボール、テニスなどのチームが組成され、同業種内で競うリーグ戦で優勝を争うレベルのチームも多い。
活発なクラブ活動は横断的な社員のつながりを築き、健康経営のみならず社員の生きがいの創出にも貢献する。
社内にストレッチルームを開設する取り組みなど、健康維持による生産性の向上にも積極的だ。
人材の採用、処遇、育成における重層的な施策が奏功して、人材不足が叫ばれる業界において、計画どおりの人材確保につながっている。
ちなみに、同社の平均勤続年数は約15年に達しており、その定着率の高さが職場の魅力を表している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)