(ブルームバーグ): 日本銀行は2日、過去最大規模の上場投資信託(ETF)を買い入れた。異例の実施だったため、市場では意外感が出ているが、株高の効果は続いていない。
日銀は2日、TOPIXの午前終値が前営業日比1.1%高と上昇していた中で通常のETFを1002億円買い入れた。ブルームバーグデータによると、日銀が午前のTOPIXが前日比上昇の中で買い入れたケースは14年12月8日(0.04%高、買入額374億円)の1回のみ。今回は2回目で、指数上昇率もより大幅だった。
スマートカーマのスペシャル・シチュエーションズ担当アナリスト、トラビス・ランディー氏は日銀は午前の取引で下げた時にETFを買い入れるが、今回の実施は「必要であれば弾薬はあると示したかったのではないか」と指摘する。東海東京調査センターの安田秀太郎アナリストは積極的な売りをしずめる効果の期待できる規模であり、「不安定な相場を落ち着かせるきっかけにはなった」と話す。
一方で株式需給面で相対的に恩恵を受けやすいはずの小型株は早くも息切れ気味。小型株が先行する形で、3日のTOPIXはマイナス圏に沈む場面も出ている。
「日銀が買うなら本来は小型株の動きが強いはず。サプライズの買い入れとなった割には小型株の買いが続かない」。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の古川真チーフ・ポートフォリオストラテジストは小型株の弱さは「現在の株式市場の問題は日銀が率先して解決するわけではないと株式市場では受け取めている表れ」だと指摘した。
日銀は東証1部全体を対象とするTOPIX中心に買い入れを実施しているため、株式需給面では流動性が相対的に小さい小型株が恩恵を受けやすい。2日はTOPIXが1%高だったのに対し、TOPIXスモール指数は3.1%高だった。3日午前はTOPIXが0.2%下落したなかで、スモールは1%安だった。
金融政策の協調が市場に与えた安心感が長続きするかはわからない。三菱モルガンの古川氏は「日銀は1000億円規模の買い入れを1カ月ほど続ける可能性はあるが、新型ウイルス問題の着地点が見えない中で冷静になれば金融政策ができることは側面支援だけだ」とも述べた。
--取材協力:Min Jeong Lee、牧綾香、河元伸吾.
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