[サンフランシスコ 9日 ロイター] - 新型コロナウイルスの急速な感染拡大とその世界経済への影響を巡る懸念は、9日の原油価格急落と相まって、ここ数週間でS&P総合500種指数 (SPX)の時価総額を5兆ドル超吹き飛ばした。
9日の同指数は7.6%安。原油相場の大幅な値下がりや新型ウイルス感染拡大を巡る懸念からリセッション(景気後退)懸念が台頭し、パニック売りに見舞われた。
インディペンデント・アドバイザーズ・アライアンスのクリス・ザッカレッリ最高投資責任者(CIO)は「破滅的な状況だ。新型ウイルスが米国でどれほど感染拡大するのか非常に不透明だ。さらに原油安もある」と指摘。3つ目の懸念として利回りが急速かつ大幅に低下する中での金融の不安定性を挙げた。
ニューヨーク証券取引所では9日、52週ぶりの安値を付けた銘柄数が3500を超え、2008年以来で最多の新安値銘柄数となった。
S&P500は過去最高値を付けて以降、時価総額が5兆ドル超消失。指数を構成する銘柄のうち、時価総額上位10社を合わせた消失総額は1兆4000億ドルを上回っている。
マイクロソフト (O:MSFT)は2月19日以降で約2500億ドルの時価総額を失っており、米国企業で最大の消失額となった。アップル (O:AAPL)とアルファベット (O:GOOGL)の消失額はいずれも2000億ドル超。アマゾン (O:AMZN)は時価総額を1700億ドル失った。
原油安を背景に9日のS&P500エネルギー株指数 (SPNY)は20%下落し、2004年8月以来の安値を付けた。
同指数は52週高値から50%値を下げており、セクター別で最大の下げとなっている。米10年債利回り (US10YT=RR)が9日に過去最低まで低下する中、S&P500金融株指数 (SPSY)は11%下落し、先月付けた過去最高値から27%値を下げた。
ニューブリッジ・セキュリティーズ(ニューヨーク)の首席マーケティングストラテジスト、ドナルド・セルキン氏は「原油安は石油株、石油業界、シェール生産業者に大打撃となり、過去最低の金利は銀行に多大な影響を与えるだろう。これらの株式がきょう(9日)最も値を下げた」と述べた。
米国株式市場の急落はまた、昨年に待ち望まれた上場を果たした企業の株式にも打撃となっている。ペロトン・インタラクティブ (O:PTON)とウーバー・テクノロジーズ (N:UBER)といった銘柄はさらに値を下げる一方、ビヨンド・ミート (O:BYND)など、投資家に好まれている銘柄は上場来の上げ幅を縮小している。