[東京 19日 ロイター] - 日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車 (T:7203)社長)は19日の会見で、新型コロナウイルス感染拡大の影響について「今期より来期の方が影響は大きいと思うが、消費の落ち込みがどの程度長くなるかによるので、今の時点で見通すのは難しい」と述べた。例年公表している国内四輪車需要見通しは公表を見合わせた。
豊田会長によると、国内の自動車販売は1月が前年比10%減、2月もほぼ同程度。新型コロナウイルスによる影響が大きい中国での日本車販売は1月で20%減、2月には80%減に達した。
今後については「3月はどのくらい落ち込むか。生産も需給調整が始まった段階」とし、感染拡大の局面や政府対応は各国で異なるため「(先行きは)まだ読めない」と述べるにとどめた。
下請けの中小企業での生産には、受注販売が明らかに下がっていく傾向の中では間違いなく影響はあるとし、現場を見ながら対応を進める以外にないとの認識を示した。
一方、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)といった先端技術への影響は「コロナ対策と未来に向けた投資は時間軸が異なる。軽微な影響はあるだろうが、大きな方向性や仕事の進み具合にはあまり影響はない」と述べた。
今回の局面とリーマン・ショック当時との比較にも言及した。当時は住宅バブルや新興国ブームがあった一方、今回は先進国、新興国とも低成長的な情勢だとし「今回は金融システムは比較的健全だと思う。今回にないのは世界の車市場のけん引役」と述べた。リーマン・ショックの際は中国市場がけん引し「グローバルで非常にバランスが取れていたが、そういうことが今回期待できない」とした。
足元の中国の状況は「その(リーマン当時の)レベルではないが、(感染拡大が)終息傾向に向かい、生産再開している状況でもある」と指摘。
サプライチェーンに関しては、東日本大震災以降、需要地で生産・調達する「地産地消」の取り組みを進めたとして「当時に比べると一歩進んでいるのではないか」と述べた。