[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米株市場で少数のハイテク・インターネット関連株に投資家が再び群がっている。市場は前月の記録的安値から反転上昇しているが、新型コロナウイルス感染拡大が引き続き米国経済に打撃を与えており、上昇の持続性が懸念されていることが背景にありそうだ。
BofAグローバル・リサーチによると、マイクロソフト (O:MSFT)、アップル (O:AAPL)、アマゾン (O:AMZN)、グーグルの親会社であるアルファベット (O:GOOGL)、フェイスブック (O:FB)のわずか5銘柄でS&P総合500種 (SPX)全体の時価総額の2割以上を占めており、2000年のドットコムバブル時代よりもトップ銘柄への集中が進んでいるという。
17日時点で、IT(情報技術)株 (SPLRCT)のS&P総合500種における比重は25.4%。その他の主要10セクターを大きく上回っている。
この数カ月の高ボラティリティーの中で、新型コロナの影響を乗り越えるとみられる強固なバランスシートやビジネスモデルが魅力となっている。
しかし、トップ銘柄の比重が大きい市場は一部の投資家にとって懸念サインでもある。特に、米国内で雇用が削減され続け、企業利益が悪化している中にあって、3月安値からS&P総合500種が26%上昇しているのは経済ファンダメンタルズにそぐわないとの懸念も強まっている。
また、市場のその他セクターが数カ月で順調になるとの見方に投資家が懐疑的である可能性もある。さらに、株価が反転下落すれば投資家が堅調な株を売って利益を確保しようとする動きが強まり、さらに急速な下げにつながる可能性もある。
チャールズ・シュワブのチーフ投資ストラテジスト、リズ・アン・ソンダース氏は「市場が反転下落し、そうした安値を再び試すようなことになれば、投資家は利益が最も大きいところで確定しようとするだろう」と述べた。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのシニア指数アナリスト、ハワード・シルバーブラット氏によると、S&P総合500種全体の年初来の株主リターンに17日時点で最も大きく貢献しているのがアマゾン、マイクロソフト、ネットフリックス (O:NFLX)となっている。
ネットフリックス株は年初来35%高。アマゾンは約30%高。マイクロソフトが11%高。
ハイテク株が市場全体をアウトパフォームする一方、その他の一部セクターもよく持ちこたえている。中でも伝統的なディフェンシブセクターであるヘルスケア株 (SPXHC)と生活必需品株 (SPLRCS)が目立っている。
ビスポーク・インベストメント・グループはリポートで「テクノロジー株はこれまで『ディフェンシブ』セクターとみなされていなかったが、世界的なパンデミックの中でいかに堅調に推移しているか考慮すべきかもしれない」と指摘した。
(Lewis Krauskopf記者)