[8日 ロイター] - 米国株式市場は主要3指数がそろって上昇して終了した。朝方発表の4月の雇用統計は新型コロナウイルス感染拡大を受け雇用者数が大きく減少したものの、予想ほどは悪化しなかった。
この日はS&P500の全11部門がプラス圏で終了。中でもエネルギー株 (SPNY)が4.3%と大きく上昇した。このほか、一部の国内店舗の営業を来週に再開すると発表したアップル (O:AAPL)が2.4%上昇したことも押し上げ要因となった。
労働省発表の4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月から2050万人減となり、1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以降で最大の落ち込みとなったものの、エコノミスト予想の2200万人減ほどは減少しなかった。また、失業率は14.7%と戦後最悪となったものの、市場予想の16%ほど悪化しなかった。
ヌビーンの最高投資責任者(CIO)、ブライアン・ニック氏は「今回の雇用統計を悲惨以外の何ものでもないと言わざるを得ないのは苦しいが、それでも市場予想と比べると何らかの救いはあった」と指摘。ただ「市場では新型ウイルス感染に関する情報が重要視されており、経済指標は看過される傾向がある」と述べた。
米株式市場は3月終盤以降、新型ウイルス感染拡大に対応するための大規模な金融・財政政策が押し上げ要因となり大きく回復しており、ナスダック総合指数は7日、年初からの下落を解消しプラス圏に浮上。この日は5連騰と、連続での上昇は2019年12月以降で最長となった。
また、米株式市場の投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数) (VIX)は27.98に低下。2月26日以来、初めて30を下回った。
市場は新型ウイルス感染拡大抑制策が緩和され経済活動がどのように再開されていくのか注目。中国の劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表およびムニューシン財務長官が8日に電話協議し、両国が今年初めに署名した第1段階の通商合意について話し合ったと伝わったことも、市場の楽観的なムードに貢献した。
個別銘柄では、配車大手ウーバー・テクノロジーズ (N:UBER)が6.0%高。7日発表の第1・四半期決算は料理宅配事業が好調で14%増収となった。
石油・天然ガス生産会社ノーブル・エナジー (O:NBL)は13.5%高。原油安に対応するために減産を実施すると同時に、設備投資を一段と縮小すると発表したことが買い材料となった。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を4.95対1の比率で上回った。ナスダックでは3.47対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は101億株。直近20営業日の平均は114億株。