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芙蓉リース Research Memo(6):2021年3月期はコロナ禍の影響により緩やかな業績の伸びにとどまる見通し

発行済 2020-07-01 17:06
更新済 2020-07-01 17:21
© Reuters.  芙蓉リース Research Memo(6):2021年3月期はコロナ禍の影響により緩やかな業績の伸びにとどまる見通し

■業績見通し1. 2021年3月期の業績予想2021年3月期の業績予想について芙蓉総合リース (T:8424)は、売上高を前期比1.1%増の7,200億円、営業利益を同1.4%増の420億円、経常利益を同2.2%増の450億円、親会社株主に帰属する当期純利益を同3.1%増の270億円と、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による影響により、緩やかな業績の伸びにとどまる見通しである。

引き続き、各戦略分野の「営業資産」の積み上げやノンアセット収益の拡大が業績の伸びをけん引する想定である。

ただ、業績の伸びがこれまでと比べて緩やかとなっているのは、コロナ禍による影響を一定程度見積もっていることが理由である。

2.コロナ禍により想定される主な影響同社では、コロナ禍の拡大が2020年9月末(上期末)ごろに収束することを前提として、以下の影響を業績予想に織り込んでいる。

(1) 航空機事業世界規模での渡航制限などにより、航空会社各社の業績は非常に厳しい状況に陥っており、同社の自社保有型リースにおいても、リース先(航空会社)からのリース料支払猶予要請やそれに伴う債務者格付の低下による影響(与信関連費用の増加)が想定される。

ただ、最悪のケース(リース先の経営破綻に伴う不良債権の発生等)に至ったとしても、物件価値にも依拠した取引であることから、影響は限定的と見ている。

特に、同社の場合、前述のとおり、市場価値が比較的安定しているナローボディ機であるため、その点でも損失が拡大するリスクは限定的と言える。

一方、JOLCO※については、信用リスクはないものの、投資家ニーズの減退によるビジネス機会の減少が懸念される。

※購入選択権の付いた日本型オペレーティングリース。

主に投資家向けの運用商品として組成されたもの。

(2) 不動産事業建物リース等については、リース先からのリース料支払猶予や減免要請、それに伴う債務者格付の低下による影響(与信関連費用の増加)が想定されるが、信用力が高い先との取引が大半を占めており、これらの影響は限定的と見ている。

ファイナンスについては、商業施設などの物件の稼働率低下によるキャッシュ・フローの減少に伴う配当停止(エクイティ投資の場合)や、元利金遅延(ローンの場合)が想定される。

(3) ベンダーリース、オートリース、その他一般リース個人消費や企業活動の停滞に伴うデフォルトの増加や、中小企業を中心としたリース料支払猶予要請及びそれに伴う債務者格付の低下による影響(与信関連費用の増加)が想定される。

(4) 資金調達CPをはじめとする調達金利の上昇が想定されるものの、現在の国内金融市場の状況や同社の財務内容から判断して、大幅な金利上昇の可能性は低い(影響は限定的)と見ている。

3. 弊社アナリストによる見方弊社でも、コロナ禍による影響については引き続き注意して見守る必要があるものの、同社の業績予想は以下の点で十分に達成可能であると評価している。

すなわち、1)これまで順調に積み上げてきた営業資産が業績に寄与すること、2)引き続き、「不動産」が好調に推移していること、3)BPOサービスの収益基盤が整ってきたこと、4)NOCによる連結効果(6ヶ月分の上乗せ)が残っていること、5)2020年4月より連結化したヤマトリースの連結効果が通年で寄与することなどを踏まえると、本来であれば、経常利益470億円〜480億円(前期比30億円~40億円の増益)への底上げは可能であると見ている。

したがって、そこからコロナ禍の影響(マイナス)をどのくらい割り引くかがポイントとなるが、与信関連費用や資金コストなどの増加分を20億円と想定しても、同社の経常利益予想450億円は達成できるというシナリオが成り立つ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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