[ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州委員会は15日、税制に関する行動規範を修正し、大企業に不当に有利な制度を改め、加盟国が新型コロナウイルス危機から立ち直るのを支援する方針を明らかにした。
欧州では国際IT企業をはじめとする大企業や富裕層の租税回避に対する市民の反発が強まっている。一方各国政府は経済対策のための財源を模索している。
こうした中、欧州委は行動規範を拡大して広範な悪影響を及ぼしている加盟国の法人税制に対処する考え。
1997年の行動規範では、国内と海外の企業に異なる税率を適用するなどの優遇措置を行っている国しかブラックリストに指定することはできない。
EUはこれまでも行動規範の改正を試みたが、1カ国でも反対すれば採択できないため実現しなかった。しかし今回はこうした「拒否権」を封じることを検討しており、自由競争が脅かされる場合は税制に関する決定を多数決で行うことができるとする欧州憲法条約の規定を活用する可能性がある。
欧州委のジェンティローニ委員(経済担当)は同条約の規定を適用できるケースについて調査しているとし「単一市場に深刻なゆがみが生じているケースについて決定を下すことを検討している」と述べた。