[モントリオール 26日 ロイター] - 休暇目的の旅行需要の持ち直しと欧州での渡航制限の緩和を背景に、今夏はプライベートジェットによるチャーター便の引き合いが強まっている。業界幹部や調査会社の話で明らかになった。新型コロナウイルスで大打撃を受けた航空業界で慎重ながらも期待する声が出ている。
チャーター便と一般旅客便はともに、夏前に比べて国内運航は改善。ただ、乗客数が限定され、新型コロナに感染するリスクが低い高額なプライベートジェットの運航は、コロナ感染拡大が始まって以来、一般旅客便に比べて比較的底堅く推移してきた。
航空サイトのフライトアウェアによると、米国のビジネス向けチャーター便の年初からの運航数は7月19日時点で前年同期比約20%減となっているのに対し、一般商業旅客便はこれより大幅な48%減となった。
チャーター機の国際予約サービスを手掛けるプライベート・フライのアダム・トワイデル最高経営責任者(CEO)は、同社の予約水準は欧州で前年の約80%程度、米国では100%を上回っていると明らかにし、新規顧客からの問い合わせに支えられているとした。
新規顧客は一般旅客便で通常ファーストクラスを利用する人たちなどで、現在は予約全体の約60%を占めているという。通常は新規顧客は全体の約25%にとどまる。
プライベートジェット運航会社ビスタジェットは、5━6月に欧州出発の運航便が153%増えたと明らかにし、7月も同様の増加を見込むとした。
しかし、業界幹部らはチャーター便の回復傾向を秋以降も持続させるには、企業の出張需要が回復する必要があると指摘。
米投資会社バークシャー・ハザウェイ (N:BRKa)傘下のプライベートジェット運航会社、ネットジェッツのマーケティング担当幹部、パトリック・ギャラガー氏は「現在は欧米ともに個人旅行がけん引役になっている。出張目的の旅行は引き続き大幅に落ち込んだままだからだ」と分析した。
ビジネスジェット機のメーカーは運航数の持ち直しが将来的に新規受注につながるかどうかを見極めようとしている。現時点で、チャーター便は既存機体の利用にとどまっている。
米ゼネラル・ダイナミクス (N:GD)傘下のガルフストリーム・エアロスペースや米テクストロン・アビエーション (N:TXT)、カナダのボンバルディア (TO:BBDb)といったビジネスジェット機メーカーは航空需要の落ち込みを受けて人員削減を実施しており、今年の納入機数が30%減少するとの予想も一部で出ている。